俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡〜

阿佐ヶ谷スパイダース「桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡 (もえてこがれてばんどごろし) 〜」@吉祥寺シアター

【原作】四代目鶴屋南北
【作・演出】長塚圭史
【音楽】荻野清子
【出演】
大久保祥太郎 木村美月 坂本慶介 志甫真弓子
伊達 暁 ちすん 富岡晃一郎 長塚圭史 中山祐一朗
中村まこと 藤間爽子 村岡希美 森 一生 李 千鶴

9/16(月・祝)13:00開演、於・吉祥寺シアター。2幕構成で、上演時間は休憩15分を含む2時間45分。

昨年、ユニットから劇団となった阿佐ヶ谷スパイダースの第2回公演。2009年にシアターコクーンで上演された『桜姫~清玄阿闍梨改始於南米版』の別バージョンです。別バージョンというか、大元?

もともと、シアターコクーンの芸術監督だった串田和美さんに、コクーン歌舞伎の番外編として「桜姫」の現代版を依頼されたものの、最初に書き上げた脚本は没を食らい、最終的に南米を舞台とした「桜姫」が上演されたそうなんですね。そう、今回の脚本は、その「没を食らった」ものなんです。圭史くん、自分では気に入っていたホンだったのかしら。

 

 第一稿ともいうべき今回の「桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡〜」の舞台は日本、戦後まもない焼跡。清玄よりも、桜姫に焦点が当たっています。

鶴屋南北の「桜姫」での役名と、現代版の役名を併記しておきます。清玄(岩井清玄)が中村まこと、桜姫(吉田)が藤間爽子、釣鐘の権助権助)が伊達暁。清玄の弟子・残月(三月)が中山祐一朗、桜姫のお付きである局(つぼね)の長浦(長浦)が村岡希美。桜姫の婚約者・入間悪五郎(入間善五郎)が大久保祥太郎で、彼の友人・松井源吾(松井)が坂本慶介。南北にはないオリジナルキャラクターとして、富岡晃一郎の(狐の七郎)があります。

戦時中、恋を誓った間柄だった白菊(南北の原作では白菊丸)が海軍の兵学校に入って会えなくなるのを悲しみ、岩井清玄は、二人で海に身を投げて心中しようとします。しかし腰が引けた清玄は死に遅れ、その贖罪のために戦後、孤児院「さくら学園」を創立して名士となりますが、本人は聖人君子扱いを迷惑がっている様子。清玄のスポークスマンの役を担うのが三月で、彼は孤児院で先生をしている年増の長浦とデキてます。

三月にはどこか山師っぽさがありますが、同じく清玄の下で働いている松井は、清玄を慕っているんですよね。

孤児院出身の吉田が、金持ちの入間善五郎に見初められて嫁入りするのですが、吉田はなんだか納得していない様子。決められたレールの上を行くのが嫌みたい。彼女は流れの音楽隊と出会い、その「音楽」に身を任せようとします。

いやー、村岡希美さんがすっごくよかった! さすがにうまい!

入間善五郎役の大久保祥太郎さんも、善人のお坊ちゃんから、吉田に狂わされて闇落ちするのをよく演じていました。ヤダー、この人うまいじゃないですか。松井役の坂本慶介さんも、最後の告白(?)シーンがよかったですね。かっこよかった。清玄を慕うだけでなく、恋情も抱いているBL展開になるのかと思ったら、ならなかったなー。でも、最後はちょっとそんな雰囲気ありましたよね?

原作は江戸時代なので、河原者も出てきたんでしょうね。今回の脚本でも、そういう階級社会を暗示する場面が出てきて、桜姫の吉田が痛烈に反発するのにハラハラしました。ギリギリの表現かこれは。

 

途中、グロい表現が出てきて、あー、そういや圭史の演出だったと思い出しました。

原作のキャラクターを生かした役もあれば、反転させた役もあって、原作を知っているとより楽しめます。私はむかーし、原作を漫画化した木原敏江先生の「花の名の姫君」を読んでいまして、それがすごく役立ちましたね。角川書店の雑誌「ASUKA」連載作品だったような気がする。さすが木原敏江先生で、原作をよく咀嚼した漫画でした。紙版は絶版みたいだけれど、電子書籍で読めますよ。

 

舞台美術もよかったです。

終演後のバックステージツアーに参加して、裏話を少し聞けたのも面白かったですね。舞台の床に描かれた文章は、原作「桜姫東文章」から採ったものだとか、最後に見せる花火の幕は、公演の直前に劇団員全員で描いたのだとか。ラストが重苦しいので少しでも明るくするために、急遽、花火の幕を作ることにしたのだそうです。

バックステージツアーは毎公演終了後に開催、無料。先着50名で公演1時間前から受付。圭史も途中で参入してきて、本当に手作りの「劇団」感がありました。

第1回公演のときと同じく、グッズの販売も劇団員がやっていましたしね。今回は、プレイガイドで購入したチケットを、わざわざ劇団制作のチケットと引き換えサービスまでしていました。劇団制作のチケット! これまた懐かしい風景です。引き換えてくれたのは劇団員の伊達暁さん。

圭史くん、そして「劇団・阿佐ヶ谷スパイダース」に参加した諸氏の皆さん、こうした学生チックな劇団に立ち戻って演劇をしたい気持ちが伝わってきました。なんでしょうね、ある程度成功(というのも変な言い方ですが)して、規模が大きくなると、商業的なしがらみが各所で発生して芝居に集中できなくなるのでしょうか。

松尾スズキさんも、劇場が大きくなりすぎると、見失うものが出てくる、自分の目の届く範囲でやりたくなったので「東京成人演劇部」をプロデュースした……と言っていたような。松尾さんも、折に触れ一人芝居、二人芝居をやってますよね。長塚圭史松尾スズキも、初心に戻り、演劇の楽しさを思い出そうとしているのかもしれません。

 

2009年の南米版も観たはず……と記事を探したらビンゴ。

しっかし、どんな内容だったか覚えてないわ。残念な私の頭。そして歌舞伎の「桜姫」も、まだ観てません。残念ざんねん。

orenade.hatenadiary.jp