俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

大英自然史博物館展と東博の花見文物

大英自然史博物館展@上野・科学博物館、花見文物@東博

友達に香港土産を渡したあと、上野まで足をのばしてまいりました。科学博物館「大英自然史博物館展」で、始祖鳥の化石を見るのです!
今日はたまたま、21時まで開館だったので、科学博物館と東京博物館のハシゴをしてきましたよ〜。東博までこの日記で書くと、大変長くなってしまうので、今日の分は「大英自然史博物館展」だけにしておきます。

花冷えの雨で、混み具合は思ったよりギチギチではなかったです。整理券が配られたけれど、特に待ち時間なしに入場できました。
大英自然史博物館展
科学博物館のサイト説明によると、「大英自然史博物館から始祖鳥をはじめとする至宝約370点を厳選」「ほとんどが日本初公開で、ロンドンで常設展示されているのも17点のみ」だそうで、そのレア感と始祖鳥に惹かれて観に来ました。
なんで、こんなのまで来てるの……?というのも、けっこうあったな〜(笑)。ガラス模型のタコ(精巧な工芸品)とか、科博ではなく、隣の東博のほうがふさわしいんでないの? 大英博物館の基礎を築いたらしい、自然史コレクターのハンス・スローンの蒐集品で、亀の甲羅の化石と並んで「中国茶」があったり、けっこうカオスでした。まあ、これは常設展示はされないだろなー。大英自然史博物館の建物を飾る、テラコッタ製のライオンまで展示されていて、企画者は「大英自然史博物館を体感してほしい!」と思ったのでしょうね。でもテラコッタ製のライオンは、自然史と関係なくね?

もし行く方がいらしたら、ぜひキャプションにも注目していただきたい。ときどき、すごいのが紛れ込んでます。

その名も「呪いのアメジスト」。「所有者はこのアメジストが呪われていると信じ、七重の箱に入れて保管していた。運河に投げ捨てたが、再び元に戻ってきたという逸話がある。後に『これは呪われており、血と、かつての所有者たちの不名誉で染まっている』という手紙とともに、大英自然史博物館に寄贈された」なんと詳しい説明文!

個人的には、このキャプションに最優秀賞を差し上げたい。

「集団で交尾をしたまま窒息死したと思われる三葉虫」。
思わず二度見しちゃったじゃないか! なんつー細かい説明、かつ断定的なのに「思われる」をつける曖昧さ! あんたが大賞やで!


左端のは「サファイアのターバン用ボタン」で、おそらくインドのもの。このサファイアがとても素敵でした。中央は「開館当時の目玉展示 ガラスケースのハチドリ」。ほんと説明がかゆいところに手が届く感じ。


左端は、絶滅した大型鳥類「モア」の全身骨格。モア! この手の絶滅動物の物語を子供のころ読んだなあ、と懐かしくなる出会いがこの後も続きますが、それはさておき。
右端のは、鳥の標本です。鳥などの標本は、よほどじゃないと、このように仰向けに転がされた状態での展示で、思わず「成仏しろよ……」と合掌したくなる感じ。皇帝ペンギンの標本も、同様に天を仰いでぶっ刺されたまま、寝かされてました。英国人の感覚って、こうなのでしょうか分かりません。

さて、いよいよ始祖鳥の登場です!


カッコいい〜〜〜! 始祖鳥の化石は2つ来日していて、見比べるのも楽しいですね。羽毛が化石の状態で残るのは、なかなかレアらしいですよ。

大英自然史博物館の創成期を担った先人たちの紹介とそのコレクション、もちろん進化論のダーウィン、ビーグル号の冒険にまつわるあれこれ、日本に来た学者たちのコレクションなど、幅広い展示が見られます。
科学史でも悪名高い捏造(アマチュア考古学者チャールズ・ドーソンによる「ピルトダウン人」化石のいかさま)展示など、先年のS細胞騒動を思い出しました。
あと「スゲー」と思ったのは、ロスチャイルド家の息子、ウォルターのコレクション! 幼少時から標本作りにいそしみ、20歳を過ぎたお祝いに、パパがコレクション用の博物館をプレゼントしてくれたそう。庶民とはスケールが違いすぎて「はあ……」とため息をつくしかない。

写真は火食い鳥の剥製。ウォルター・ロスチャイルドが特に情熱を燃やしたのが、火食い鳥とゾウガメなんですって。彼のコレクションは増殖を続け、現在は大英自然史博物館の分館となっているそうです。


今は絶滅した、サーベルタイガーの骨格標本

左2枚は「オオツノジカ頭骨」。約1万3000年前のもの。
右端は「ドードー」の模型。

子供連れのファミリー層に、若い男女のカップル、撮影OKだからか、本気カメラを持ってきている人も多かったです。
煩雑になるので、写真はもう上げませんが、昆虫標本や鉱物、鉱物の括りで宝石なども多数展示されていました。私みたいなミーハー心丸出しの、自然史に疎い人間でも楽しめましたね。ふだん縁のない世界なので、面白かったです。

東京博物館

次に向かったのは、同じ上野の東京博物館。毎年、春はお花見と雛の節句にまつわる文物を特集しているのです。
「桜蒔絵十種香箱」が可愛かったな。

衣裳人形風の巾着、「縮緬(ちりめん)細工 巾着袋」。首の後ろで襟元が開くようになっており、物が少し入れられます。「衣裳人形そのものではありませんが、珍しい作品ですので、今回展示しました」ですって。

こちらは、見ているだけで楽しい気分になる「「台付機巧(からくり)輪舞人形」。江戸時代、正徳3年の作で「台座の棒を回すと、若衆をはじめとした人形が三味線の音に合わせて回転する仕掛けのからくり」とのこと。


花見や雛の節句とは関係ないながら、いいなと思ったのを羅列。
「色絵松竹(しょうちく)文陶樽」。さわやか。

明治44年作、今村紫紅風神雷神」。ユーモラス。

江戸時代、19世紀。青木木米(もくべい)作「色絵草花浮文(いろえ そうか うきもん)煎茶碗」。中国ものの写しを得意とした焼物作家だそうです。ピンクの色使いが可愛い。