俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

うーむ

大パルコ人 バカロックオペラ(3)「サンバイザー兄弟」@池袋サンシャイン劇場

【脚本・演出】宮藤官九郎
【音楽】上原子友康怒髪天
【出演】瑛太 増子直純怒髪天) 三宅弘城
    皆川猿時 清野菜名 少路勇介 よーかいくん
    篠原悠伸 上川周作 宮藤官九郎 りょう

11/19(土) 19:00開演、於・池袋サンシャイン劇場
クドカンの「大パルコ人 バカロックオペラ」第3弾です。今回は、ロックバンド「怒髪天」の増子直純さんと、同じくミュージシャンのよーかいくんが出演しています。よーかいくんは、前回の大パルコ人(2)「高校中パニック!」にも出ていたし (ゴメン覚えてなかった)、増子さんは初舞台だそうですが、歌い手さんはカンがいい人が多いので、特に心配はしていませんでした。実際、大丈夫でしたよ。それ以上の「スゲー!」はなかったけれど。
というのも、私はロックバンドはさっぱりなのです。好きな役者やバンドメンが出ていたらテンション上がるけど、知らない人だったら、よっぽどじゃないと「スゲー!」にはならない。見る前の印象がマイナスだったら別だけど (むしろ好きになってたかも)、幸か不幸か、増子さんはフラットだったから、「いやー、安心して見ていられるなー」それ以上でも以下でもなかった。瑛太が歌うまかったのに、むしろびっくりした。瑛太やるじゃん!

清野菜名(せいの・なな)ちゃんは、いま売り出し中の若手女優さんらしいですね。園子温押井守監督の映画にも出たそうですが、そちらは観ていないので、今回の舞台の印象だけで書きます。
……白痴的美女の役は難しいですよね!
いやあ、今回思ったのは、頭の足りない役は超ムズイ、ってことでした。松尾スズキの「キレイ」で、ハリコナ(知的障害)を演じた阿部サダヲはまじスゲーって思ったわ。あんなに軽やかに、たまに悲しみを感じさせながら演じられるのって、よほどじゃないとできないんだね。クドカン脚本だと、性的魅力たっぷりの白痴的な美女、ってよく出てくるアイテムなんですよね。ええ、敢えて「アイテム」呼ばわりしました。記号的な扱いでよく出てきますよね〜。クドカンの世界って、男が主体(かなりホモソーシャル)で、女は記号的な気がします。


「サンバイザー」、実は今回の舞台まで、何を指すか知りませんでした。
あ〜! ツバだけの帽子のことね! 私が小学生の頃、すごく流行っていたアレね! クドカンとは同世代だもんね、分かるよー!(今まで忘れてたくせに何を言う)
小ネタは面白かったし、ストーリーで楽しむ話ではないことは重々承知の上ですが、このシリーズ(大パルコ人・バカロックオペラ)と、ネタ系のクドカン舞台を観てきて思うのは、「あらかたノリが分かるだけに、驚きが少ない」ことでした。
クドカンに限らず、脚本家の嗜好、世界というのは、書けば書くほど分かってくるものだと思うのですね。で、ある程度観ていくと、あとは個人の好みに帰結すると思うのです。
個人の好みでいうと、松尾さんのは好きだからいいけれど、クドカンのはちょっと飽きたな。白痴的美女も、お湯で戻すのも (これは師匠の松尾スズキさんもTVコント「恋は余計なお世話」でやってたやつだよね。古典的なネタでもあります)、下品ネタも、皆川猿時さんを飛び道具で使うのも、三宅さんの扱いも、「あーあーあー、はいはいはい」な感じ。そういう感じで終わるのは、舞台のクドカンをそれなりに観てきたせいだと思います。繰り返しますが、クドカンの世界はかなりホモソーシャルだと思う。女性は出てくるけれど、性的な……記号の場合が多い。いや、男ですら、記号的な、虫みたいな扱いなのかもしれない。クドカン脚本は本当は恐ろしい。師匠の松尾さんのほうが、よっぽどウェットで温かいです。これがSとMの差か!

初見の方なら、面白く観られたと思います。私も、面白くなかったとは言わない。ただ、「あはは、はいはい」という気分が拭えなかったというだけ。