俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

映画「怒り」

ブッキーとアヤゴーがBLなんだって?という、ダメ〜な感じで観に行った映画ですが、そんな腐女子な考えを吹き飛ばすぐらい見応えのある映画でした。
久しぶりに「映画」を観た、という気がします。
http://www.ikari-movie.com
吉田修一原作の同名小説を、李相日監督が映画化したもの。この監督は、同じ原作者の吉田さんの小説「悪人」も以前映画化しており、その評価も高かったそうです。「そうです」というのは、申し訳ないけれど、そちらは観てないのですよ。しかし、観終わったあと、この監督さん誰!?と検索したくらい、すごくいい映画だったのです。
ある殺人事件の逃亡犯人をめぐり、直接関わりのない3組のカップルの人間模様がミステリー仕立てで観客に迫ってきます。その3組の絡ませ方も複雑で、よくぞ映像でこんな緊密に、しかしわかりやすく繋げたものだと驚嘆。
それなりの上映時間なのに、まったく長いと感じませんでした。途中でダレることもなく、とにかくスクリーンから目が離せないの。静かな緊張が途切れることなく、ラストまでずっと続きます。最近のテレビ特番みたいなエイガとは全然ちがいますね。重い内容なんですけれども、お値段以上の映画ですよこれは。
人間の心って、一面的ではないですよね。多面的で、矛盾している。愛していても100パーセントは信じられない、世間体も気になる、彼ら一人ひとりが抱えた「怒り」と「悲しみ」、愛の矛盾が胸に迫ります。
オールスターキャストの映画ですが、役者よりも監督の個性が光る映画でした。そこも、映画らしいところ。