俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

二都物語を観てきたよ

二都物語東急シアターオーブ

【原作】チャールズ・ディケンズ二都物語
【脚本】土田英生
【演出】板垣恭一
【出演】草なぎ剛 堀北真希 小澤征悦 ╱
    橋本じゅん 皆川猿時 市川しんぺー 三浦貴大 壌 晴彦 須藤理彩 ╱
    高橋惠子 大杉 漣 ╱ 他

4/19(金)18:30開演、於・渋谷東急シアターオーブ。確か2幕で、上演2時間40分だったか……。
英国人作家、チャールズ・ディケンズの「二都物語」を、土田英生が日本古代に翻案した舞台です。原作の「二都」は、フランス革命時代のパリとロンドンですが、今回の舞台では、ヤマタイ専制的)とクナ(民主的)の二国に変換されてます。
原作は読んでおらず、だいたいの粗筋しか知らない(失礼!)のですが、土田さんの翻案は、よくできていたのではないでしょうか。ただね、土田さんのホンは、ハートウォーミングなイメージがあるんですよね……それがヌルく感じるか、感動的となるか、個人の好みかとは思いますが。
というのも、以前、土田さんの脚本・演出で、草なぎ君が朗読劇をしたことあるんですよ。ちょっと暗いところもありながら、最後いい話で〆てたんですよね〜。そのときも小デュマの「椿姫」を下敷きにした話だったなあ。残念ながら公演は観に行けなかったので、後日CDブックを購入しましたっけ。

↑いま、amazonで検索したら、商品画像に草なぎ君の顔が写っている! 台本つきCDです。

話がそれました。土田版「二都物語」ですね。
原作通り、草なぎ君と堀北真希小澤征悦の3人が三角関係……というほどではないですが、それっぽく恋愛の矢印が向くわけです。草なぎ君が過去のある男、ホマキが清純なお嬢様、小澤征悦が育ちがよく気もいい男。ホマキは草なぎ君に惹かれつつ、自分がダメな男だと自覚している草なぎ君に身を引かれ、小澤と結婚します。えーっそうなの!?(原作読んでないから、結婚式のシーンで花嫁連れ去りの「すわ『卒業』か?」と思ったんですけど、ちがいましたね)
主役3人がからむところより、橋本じゅん皆川猿時市川しんぺーの3人が面白かったです。特にじゅんさんと猿時さん、あそこまで自由に演るとは思わなかったよ、すごく楽しかった! じゅんさんと猿時さんは、いつも彼ら所属の劇団公演で観てばかりで、こういう客演のときには「やはり実力あるのね」と実感させられます。しんぺーさんも、まだ声が嗄れる前(笑)でよかったな〜。ワルイ役似合うよね。
古代日本が舞台なので、髪型がね……「みずら」なんですよね。
草なぎ君、似合わねえEEEEEEEEEEEEEEE!
いや、数年前のNHKで「聖徳太子」「大化改新」などの古代ドラマが放送されたときも「みずら変……!」と思ったけれど、みずらは実写でやったらダメだよ、うん。あれは漫画の世界でこそ栄えるもの。
堀北真希ちゃんが一人二役で、清純なお嬢様と殺し屋を演じるのですが、冒頭が、草なぎ君と二人での殺陣シーンなんですよね。ここが一番キツかったです。清純ホマキは似合ってたけれど、殺し屋ホマキは、殺陣が「えいっ☆えいっ」てな調子で、かわいそうだから止めたげて! 早く終わって! と念じてました。劇団☆新幹線で派手な殺陣を見慣れているから、余計につらかったです……草なぎ君みずらだし。
草なぎ君のみずらは序幕のみで、すぐに違う髪型になったので助かりました。それくらい破壊力あったです。古代日本を舞台にした恩恵って、草なぎ君の二の腕に入墨が施されていたことくらいかなあ。あれはよかった……しみじみ。
全体的に、衣装やヘアメイクが80年代でした。まさかトサカ・リーゼンを草なぎ君で見るはめになるとは。だれが考えたのコレ。いや、草なぎ君に限らず、なんか……80年代なんですよ。びっくりするよ。
小澤征悦は、女性にもてそうだな〜と思いました。けっこう色気ありましたね。
大杉漣は好きな役者さんだけれど、今回の役(堀北真希の父親で、専制圧政に反対して牢獄入り)は、別に彼でなくともよかったのではないかしら。
演出は、台本にそう書かれているんだろうな、と思わせる丁寧さでした。だからかな、じゅんさんを始めとする小劇場系の役者の自由度に風穴があいて、それが心地よかったです。

終演後、パンフレット購入。草なぎ君の舞台なので!
脚本の土田さんのインタビューで、

バラエティ番組の草ナギさんは、明るくて無邪気に見えますけど、時々、何か別のものが見えているんじゃないかな、と思わせる表情や暗い顔をするんですよ。……草ナギさんの持つ“哀愁”みたいなものが見えたらいいな、と思っていますね。

と、土田さんが語っています。そこが、我が意を得たりでした。
私、草なぎ君の顔も好きですけれど、あの人の陰翳が、これまたいいんですよねえ! 一度、すごーく悪い役を演じていただきたい。あとコメディも。この二つは、表裏一体だと思うので。