俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

任侠道

シス・カンパニー公演「今ひとたびの修羅」@新国立劇場

【原作】尾崎士郎「人生劇場」残侠篇
【脚本】宮本研
【演出】いのうえひでのり
【出演】
堤真一宮沢りえ
岡本健一小出恵介小池栄子村川絵梨鈴木浩介
浅野和之風間杜夫
逆木圭一郎╱村木仁╱インディ高橋╱礒野慎吾╱ほか

4/21(日)13:30開演、於・新宿新国立劇場 (中劇場)。
シス・カンパニーが贈る任侠の舞台です。ここ数年、シスカンの社長が昔の脚本にもいいものがある!と、掘り起こして公演を打っているんですよね。草なぎ君が主演した「父帰る」「瞼の母」がそうだし、今回の演出家・いのうえひでのりさんが関わった「怪談 牡丹灯籠」もそう。あ、いのうえさん、これで復古脚本シリーズ(いま命名)2回目じゃん!

正直、いのうえさんが演出だから観に行きました。別に尾崎士郎にも任侠ものにも興味なかったし。
でもチケット取れなかったですよー、さすが堤真一×宮沢りえ。最初S席狙いだったけれど、何度もプレオーダーに落選して、もう2階席のA席でいいと割り切ったのが、今回のチケットです。2階席は遠いよね……それでもシアターオーブの2階席の見づらさよりマシだと、知人が申しておりました。ほんっと悪評しか聞かないよな〜シアターオーブ。
例によって、原作未読です。「人生劇場」の名前だけは知ってましたが、勤め先の近くにパチンコ「人生劇場」がありまして、むしろそちらのイメージが強いありさま(笑)。もちろん、尾崎士郎のをもじった店名なんですけどね。
任侠者の暗黙のルール、「堅気には迷惑をかけない」「筋を通す」も古くさいお題目と成り果て、金が儲かればいい風潮になった昭和初期。それでも昔気質に筋を通すのを是とする男・飛車角(堤真一)と、その妻おとよ(宮沢りえ)、飛車角を兄貴と慕う弟分・宮川(岡本健一)。
飛車角を軸に、早稲田の学生で小説家をめざす青成瓢吉(小出恵介)と恋人お袖(小池栄子)、瓢吉の父に受けた恩義を今でも忘れない任侠者の吉良常(風間杜夫)が絡み、裏社会の「男の生きる道」を描く作品です。……と言えばいいのかな。
着流しの堤真一はかっこよかったけれど、赤襦袢の宮沢りえは綺麗だったけれど、やっぱり古いよねえ、男女の描きかたが。男がいないと生きていけない女とかさあ。時代設定も昭和初期だし、その書割(かきわり)の世界を楽しむ舞台だと思います。演出もそれを意識したんじゃないかなあ、下手に現代風にされるより、よっぽど正解ですね。

堤真一×宮沢りえをがっつり描いた作品だと思っていたら、意外と群像劇でした。岡本健一が演じた弟分が、ひたすら可哀想だったなあ。弟分が一番ワリを食ってないすか?
風間杜夫は、ちょっと存在感出しすぎかな〜。浅野和之が演じた、小出恵介の高校時代の先生は、現代人の目からすると「なんでこの人いるの?」という感じなんですが、そこをコミカルに演じて乗り切ってます。浅野さん好きだわ〜。
青年座出身の鈴木浩介も、面白かったです。小出恵介の学友役で、少しハイテンションな演じ方が、出し過ぎではなく「うまい」という感じ。蒼井優と噂になった人ですよね、「蒼井優、見る目あるな」なーんて。