ひとあし早いクリスマス
23日の天皇誕生日。仕事が混んでいるときは「年末の忙しい時期にじゃまなんだよ!」と八つ当たりしちゃうが、ヒマなときはありがたい祝日です。
家事もそこそこに街に出ると、デパートはクリスマス商戦まっただなか。クリスマスケーキに群がって、行列ができてる。行列を横目に喫茶店へ向かい、クリスマスケーキ・セットを注文。そら食べますわな!
ああ……しあわせ……。
家だと気が散ってしまうため、年賀状の宛名書きをここでやることにする。メッセージまで書く時間がなく、宛名書きだけで終了。うん、それでもよくやった。
本屋にぶらりと立ち寄り、平台を眺めていたら、文庫本の帯に「追悼 日高敏隆」。日高先生、お亡くなりになっていたの! 日本の動物行動学の泰斗ですよ。思わずほろりときて購入。
- 作者: 日高敏隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/12/24
- メディア: 文庫
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一番上は、不正確でも「そんなものでしょう」というところ。さて、実物を見てから描いた中段の絵は?
……ここで本当のアリの姿が描かれるはずだとぼくは期待していた。
ところが、子どもたちの絵はけっしてそうなってはいなかった。描かれたアリの大部分は、依然として頭と胴体、肢は四本なのである!
(日高敏隆著『セミたちと温暖化』新潮文庫より「人は実物が見えるか?」)
ホンモノを見ても、私たちの目はきちんと捉えていないかもしれない。観察する目、検証する気持ちがないと、結局、頭のなかのイメージ像を実物にかぶせて、終わってしまうのである。
さて、エッセイに戻ろう。中段の絵のあと、アリの体はどうなっているか、教師は子どもたちに注意を促して気づかせた。自分たちの目で、イメージと実物のちがいを納得して描いた下段の絵は、実物のアリに断然近づいている。このエッセイを、日高先生は次の文章で締められている。
ぼくがとくに感動したのは、いちばん上段の絵を描きながら、頭と銅を描いたり消したりして迷っていた子の絵が、本物のアリを見せられたとき、先生の説明はまだなかったのに、忽然として頭と胸と腹になっていたことであった。