俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

中年がんばる編

下北沢本多劇場まで、宮藤官九郎さんのウーマンリブ「七人は僕の恋人」を観てきた。
前の「七人の恋人」と同じく、コント形式。笑った〜。でも、今回は多少ダラダラしたのが多かったかな。「七人の恋人」の方が、もっとオリジナリティとメリハリがあって好き。
池田成志が、相当がんばってます。もういい年なのにえらいよアンタ! あと伊勢志摩さんも大活躍。
最初のコント「生きる」は、観客の年齢層の踏絵かと思った。元ネタ知らなくても笑えるけど、知らないまま観ると、ありがち精子ネタと言えなくもない。私は途中からわかったクチです。音楽とキーワードを聞いて「ああ!」と腑に落ちた。でも客席の大半は、分かったような分からんような微妙な空気。みんな若いのね……。

ウーマンリブ vol.11「七人は僕の恋人」

【作・演出】宮藤官九郎
【出演】伊勢志摩 宍戸美和公 猫背椿 田村たがめ 荒川良々 平岩紙 少路勇介 星野源 宮藤官九郎
峯村リエ 遠山景織子  池田成志 

「生きる」「バトルロワイヤル」「惑星からの物体X」「夢」「サウンドオブミュージック」「ブラックレイン」「友だちのうちはどこ?」「ゾンビ」

11/16(日)19:00開演、於・下北沢本多劇場。上演時間は約2時間。開演が押したから、21時は回ってたね。開演までの待ち時間、60〜70年代の歌謡曲(主にアイドル・ポップス)が流れているが、最後に理由がわかるよ。
3年前の「七人の恋人」(そちらの感想はid:orenade:20051030) と同じく、コント形式。ただ、前回は各話がゆる〜くつながっていたけれど、今回はそれぞれ独立している。芝居的オチがない、お笑いオチ。TVのお笑いバラエティの感覚に近いかも。クドカンなので、毒も下ネタもピリリとあります。グループ魂のCDに挟まっている、小コントを引き延ばした感じ。
完成度は「七人の恋人」のほうが高いですね。正直、もっと摘めよと思ったネタもあるけれど、総じて笑えます。今回は演劇というより、放送作家の面が強く出た作風なので、クドカンらしく、清々しいまでに何もあとに残らないお笑いですな。嫌みじゃないですよ。

冒頭のコントは、観客年齢の試金石ですね。往年の名TVドラマ(ヒント:仲手川、いとしのエリー)を小ネタに使ってます。観客の大半は元ネタを知らない20代中心ぽい感触。
一番気に入ったのは「夢」のCR伊勢志摩。これは面白い! この殺陣は……と思ったら案の定、新感線でした。音響も同じく。音響効果のSEが決まりまくりで、ここだけ新感線空間が現出してます。でも話はまんまクドカン・コント。伊勢志摩さんの、文字通り体を張った演技がすばらしい。普段はあんなキャラではないでしょうに、ちょっと無理してる感じがさらにかわいらしい。CR伊勢志摩と、ブラックレイン2008のAD役・少路勇介くんはうまくなりましたね〜。
荒川良々さんは、いつもは阿部サダヲさんがやっている役柄だったな。大人計画の舞台は、役者に体を張らせる(身体的にこき使う、脱がせる等)けれど、クドカンは松尾さんより遠慮がないねえ。遠山景織子ちゃんがヨゴレになってます。景織子ちゃん、好きだけど綺麗だけど……演技をさせると、どんどん残念な感じになるのがつらい。ちょっと弱いんだよなあ。マネキンドール風味の「ゾンビ」はよかったんですけどね。田村たがめさんがきれいで演技もよく、もっとこのひとは世に出てもいい気がします。
一番がんばったのは、池田成志。のっけから全開で、途中で酸素吸入でもしてんじゃないかというくらい、体力的にもきつかったんじゃないかしら。敢闘賞を差し上げたい。そういう点では、宮藤さんのSっぷりがよく出て、成志もそれを受けて立った舞台でした。