俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

信教の自由のありがたさ

安倍総理が辞意を表明したり入院したりで、大変ですねえ。関係なく、こないだ観てきたハニー in 東博の別特集をご紹介。

キリシタン−信仰とその証−」東京国立博物館

常設展示の一画でやっていた特集陳列。本館特別2室 、9月30日までの公開。小さなコーナーだが、江戸時代の隠れキリシタンの持ち物などが見られる。

写真左はマリア観音 (17世紀)。ご禁制で国内では作れないのだろう、中国(明・清)の作陶だった。右は、紙縒りのロザリオ (19世紀)。紙縒りのほかに、麻糸製もある。十字架そのままは危険なので、隠れキリシタンたちは紙縒りの結び目を十字架に見立て、信仰をつむいでいたらしい。
こうした品々のほとんどが、浦上あたりの「収納」物なのにしんみりする。キリシタンたちも智恵をしぼったが、幕府側も負けていない。写真には撮らなかったが、「隠れ切支丹の偽装を見抜け」「この持ち物はヤバイぞチェック」といった、図入りの解説マニュアル本も展示されていた。


写真左は、真鍮踏絵 (ピエタ)。長崎奉行所の旧蔵品で17世紀というから、島原の乱(1637年)のころかしら。右は、板踏絵 (無原罪の聖母)。説明ボードによると「(踏絵に) はじめは銅版や木版の……聖画を使用したが、損耗が激しく、数も不足したので、信徒から没収した銅牌を厚板にはめこんで踏絵に用いた」そう。紙刷りの画ではすぐ使えなくなるので、板踏絵や真鍮踏絵に代えたわけだ。「数も不足」の一文がおそろしい。
キリスト教は江戸期のみならず、明治初期まで禁教だった。明治維新の1年前に「浦上四番崩れ (Wikipedia)」が起こる。信者たちの捕縛拷問、流罪を知った諸外国の非難で、明治政府が禁教令を解いたのは、明治6年のことだった。