俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

映画を見たら笑ってしまいそう

洗濯掃除ふとん干し昼めしと、間断なく家事。先週の帰省で持たされた、てんこ盛り野菜を消費するため、この1週間はめんどくても自炊でした。まだ残っているモロヘイヤを味噌汁に投入、きゅうりの生姜漬けで、さっぱりごはん。
夕方、池袋へ。サンシャイン60内のワールド・インポートマート「舶来横丁」、今年の3月末に店仕舞しちゃったんだね。知らなかったわ。
今日の本命は、池袋サンシャイン劇場の「犬顔家〜」。一にクドカン、二に小松、三四がなくて五になぜ脱ぐの。(クドカンや小松さんは脱いでません)

劇団☆新感線2007年夏休みチャンピオン祭り「犬顔家の一族の陰謀〜金田真一耕助之介の事件です。ノート」

【作・演出】
いのうえひでのり
【出演】
古田新太 宮藤官九郎 勝地 涼/橋本じゅん 高田聖子 小松和重 粟根まこと/逆木圭一郎 右近健一 河野まさと 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ/村木 仁 川原正嗣 前田悟/池田成志木野花

8/25(土)18:00開演、於・池袋サンシャイン劇場。第一幕18:00〜19:15/休憩20分/第二幕19:35〜21:00。
新感線のネタもの、久しぶりの純粋劇団公演。おポンチは2004年「レッツゴー! 忍法帖」以来。もう3年か〜。
いのうえさんの青春時代を捧げたかのような、70年代の歌謡曲が開演前と休憩時間に会場を鳴らした。これ絶対本人セレクト。なにしろタイトルからし角川映画ですよ? 角川映画第一作、市川昆監督「犬神家の一族」(1976年、フェアリー石坂浩二金田一)。いのうえスターダスト・メモリー

タイトルのすべてをネタにしきっていた。「犬神家の陰謀」を下敷きにしているせいか、おポンチの割に芝居寄りの印象。自分はうすいので「あれ〜? なんかふつうに芝居だなあ」程度だったが、濃いい知人は「面白かったけれど、なんかちがう」「おポンチにまともな芝居なんていらない」「おポンチが足りない!」と、納得のいかない顔をしていた。この件については、別の知人の名言を紹介いたします。「いのうえさん、もっとまじめに (おポンチを) やろうよ!」
タイトルから想像される通り、横溝正史パロディが満載。「八つ墓村」のTV放映しか観たことなくても、なんとなく分かるものなのね〜。知らないうちに、どこかで目や耳にしてるんだろうなあ。
原作よりも映画の「犬神家の一族」を観るよう勧められていたが、時間がなくて原作だけ読了。OPロールや、クドカンの金田真一が走る映像シーンなど、先に映画を観ていたらもっと楽しめただろうに残念! とはいえ、複雑な人物相関や粗筋、ネタのしどころなど、原作だけでも読んでおいてよかったわ。
「です。ノート」も、きちんと使われていて驚いた。「柳生一族の陰謀」は、佐兵衛臨終の狂乱部分だけなのに、えらい違い。佐兵衛は橋本じゅんさんだが、彼が出てきたとたん沸き返る客席。「ネター!」という客の期待が満ち満ちています。ここでのアドリブネタは「亡くなった芸能有名人が憑依する」。じゅんさんも、美空ひばりまではがんばったが、古田新太さんの「アイルトン・セナ。」の一言に撃沈してた。口中で舐めていたキャラメルを、プッ! と吹き飛ばすのも、毎回のお約束らしい。今日は吹き飛んだキャラメルを、素知らぬ顔の古田さんがパクッ! と口に入れて、半径2メートルの役者たちを動揺させていた。

さて、今回の舞台を引っ張っていたのは客演陣。クドカンの金田真一耕助之介(きんたまいち・こうすけのすけ)は、ビジュアル的にもぴったりで、アドリブもうまいし、拾いっぷりもすごい。宮藤さん、できるなあ。小松和重さんは「ザ・駐在」の勲章を捧げたいほどに、お似合いです。木野花さんは貫禄と天然が同居して、とにかくうまい。桃太郎パロディでの、アドリブ素人がたまりません。古田・池田に容赦なくつっこまれてるし。クドカン・小松がツッコミなのに対して、木野花さんはボケですね。
勝地涼くんは、役柄に対して吹っ切った! という感じ。新感線初参加、しかもネタものというハードルを乗り越え、馴染んでました。うん、変にカッコつけず、思いきりよくやってくれたと思います。こんな勝地くんは、犬顔家しか見られないよ!

以下は、個人的な覚え書き。
橋本じゅんさん演じる犬滝神官(佐兵衛と二役)は、映画版で大滝秀治と聞いていたおかげで大笑い。
・ツッコミの小松さんが、唯一つっこまれた場面。古田さんが、脈絡なく「心理テストです。奥さんと子供が溺れていたら、どちらを助けますか?」なぜか動揺する小松さん。迷ったすえ「……奥さん…」と小声で答えたあと、急にキレて「…だから、こんな舞台には出たくなかったんだあーー−!」と叫んで、駆け足で舞台袖に引っ込む小松さん。萌えです。
・OPロールで、桃屋の「ごはんですよ三木のり平の似顔絵イラストと小松さんの、相関関係が若い子にわかるだろうか。「三木のり平物語」がドラマ化されるとしたら、主演は小松さんでお願いします。クリソツ。
・なんでもないセリフの途中、笑いがこみあげてセリフが言えなくなってしまった小松さん。場をつなげようと、声をかけた宮藤さんに「……アンタが、にやついた顔してるのがいけないんだよッ!」と、ヒクヒクしながら八つ当たり。さすがのクドカンも「え〜〜?」「もとから、こういう顔だからなあ」とアゴを撫でて困ってました。
・まさか、小松ネタが3つも続くとは。
・宮藤さんのこんなにきちんとした芝居は、初めて見たかも。見直した人が多いんじゃーないかしら。
・よく考えたら、木野花さんも池田成志も客演なんだった。
・三姉妹が脅しに行く場面のミュージカル元ネタは、「ドリームガールズ」だって。三人の女性、というのがポイントだそう。
・「千の風になって」、字幕は東京からみたい。
・中谷さとみちゃん……。冒頭のミュージカルネタ、メインなのに歌へた。レオタード姿が生々しくて正視できず。がんばってるんだけど、役以上に伸びないのが忍びなくて、最近は見るのがつらくなってきちゃった。個人的には、さとみちゃんと礒野さん(いっそん)が同格なんです。
・終盤の鍾乳洞で、勝地涼くんに迫る木野花さんが、ものっそい可愛い。
・最後の「兄妹」云々は、大阪公演ではなかったとのこと。東京でも蛇足なので、なくてOK。元ネタにこだわらなくともいいんじゃないかしら。
・ネタものだから、新感線だからと分かっちゃいるけど一言だけ。どうしてあなたたちは、そんなに脱ぎたがるの!