俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

楽園は非現実の国で

ヘンリー・ダーガー展のイメージケーキ

今日はゆっくりめの起床。バーゲンの時間をけずり、高輪の原美術館へ、ヘンリー・ダーガー展を観に行く。感想は下記参照。到着が午後3時と遅めだったが、まだまだ混んでいた。会期は今週末の7月16日まで。
帰りに、夏のバーゲン初参戦。出遅れで、けっこうサイズの品切れが多かった。夏休みの旅行先で、必要になりそうな服を購入。昨年、衣料をわりと処分したので、手持ちがホントに少ないのよ。それにしても、買物はニガテだ。見るだけなら楽しいんだけどねむむむ。

原美術館ヘンリー・ダーガー 少女たちの戦いの物語─夢の楽園」

ヘンリー・ダーガーについては、2003-4年の回顧展「ワタリウム美術館:ヘンリー・ダーガー展」、その前の1997年展示「資生堂ザ・ギンザ アート・スペース:ヘンリー・ダーガーが生んだ少女たちの王国」と、「作品社/マクレガー「ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で」オフィシャル・サイト」の説明が詳しい。
4歳で母が産褥死。そのとき生まれた妹は、見る間もなく養女に出された。足が悪く面倒が見られなくなった父に、8歳でカトリック系児童施設に入れられる。感情障害の兆候に精神遅滞とまちがえられて、そちらの施設に収容されるが、父の死を知り、17歳で施設を脱走。何マイルも歩いて故郷に戻り、病院清掃や皿洗いの仕事をしながら、81歳で死ぬまで孤独に暮らした。
その間、60年にわたって「The Story of the Vivian Girls, in What is Known as the Realms of the Unreal, of the Glandeco-Angelinnian War Storm, as caused by the Child Slave Rebellion:非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ−アンジェリニアン戦争の嵐の物語」という一大長編を、誰にも見せず、自分一人の楽しみとして書き継ぐ。物語の世界観を補足すべく、挿絵も描いたが、これが今回の展示品。

生の絵を観るのは初めて。実物はすごい。やばい。
ネットのモニター越しとは、まったく迫力がちがう。赤の色づかいが血のようだ。他人の目を考慮しない絵群からは、ダーガーその人の思想と嗜好がダイレクトに伝わってくる。非常に心がざわめきます。性的な絵。といっても情欲ではない。
今回の原美術館は、日本初公開のものが多いそうだ。少女ものではないが、初期コラージュ「The Battle of Calverhine」が異様だった。コラージュにつぐコラージュで、貼り込みに画面がボコボコと盛り上がっている。そのコラージュが非常に細かく、画面を埋め尽くしている。
ほかに、少女のトレースとコラージュ画。自身が描いた少女が気に入らなかったのか、別の少女の顔写真が、上から貼り込まれていたりする。反対に、顔の部分が剥がされている絵も。理想の少女を追い求める執念が、いまもなお絵から漂いつづけている。

さて、写真は原美術館のカフェで注文した、「イメージケーキ」。そのときどきの展覧会にあわせた、会期限定のケーキです。すごいインパクトですね。中身はレアチーズ・ケーキ。見た目はアレだけど、んまかった。