俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

太陽が射した

予報では雨だったが、昨晩早めに降り出したおかげで、日中は晴れ! 早めに起きて、冬物をさぼす。秋の陽射しは淡く、やさしいから好きだ。
雨なら、上野の科博に行くかと思ってたけど、そんなんで家事の明け暮れ。恒例、夕方の外出になりました。銀座で映画をサクッとね。

アレクサンドル・ソクーロフ監督「太陽 The Sun」

銀座シネパトス、17:00の回。イッセー尾形が、1945年の昭和天皇を演じている。ロシアの監督が撮った外国映画だが、皇后は桃井かおり侍従長佐野史郎など、基本的に日本人には日本人キャストを使っているので、人種的な違和感はない。ていうか、イッセー尾形をはじめとして、似ている容貌の人集めてる。すげえ。待避壕の天皇の居室なども、昔の和洋折衷ぽくて、ふつうに見られた。歴史や風俗など、かなり研究したんだろうなあ。日本近現代史は詳しくないので、どこまでが史実でフィクションか定められないが、いや、うまく組み立ててますよ。ただ、NHKスペシャルのような、史実映画ではない。“天皇”の看板をしょいこみ、現人神から人間に降りた、一個の人物の内面を追った作品だ。ゆえに、政事的な意味を求めずに観るといいと思う。
監督がヒロヒトをどう捉えているかは、冒頭のセリフに明らかである。天皇は神の現し身だという侍従長に対し、“私の体は、君のと同じだ”。
天皇ヒロヒトの造形は、監督の意図のもとにイッセー尾形がつくりだしたものだけれど、あのう、かなり好意的ですね、監督さんは。ヒロヒトさんに。天皇のセリフなど、史実から着想を得たフィクションがほとんどでしょうが、現代日本人が抱く昭和天皇像と、それほど隔たりはないんじゃないかしら。
天皇はちょっと不思議ちゃんで、この人、もしかして紙一重? なところもあったけれど、お育ちを考えれば、浮世はなれているのは当然かしら。イッセー尾形がほんとにうまい。映画は淡々と説明なく進む。画面の端まで気を配られた映像美に、映画とTV映画のちがいを見た。画面構成や光の加減、俳優の心象と映像が重なる表現法が「映画」なんだなあ。
「太陽 The Sun」公式HP:http://www.taiyo-movie.com/