俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

発散!

今日は、山本耕史主演の「リトルショップ・オブ・ホラーズ」。昼公演は、早く起きなくてはいけないので、つらいわー。今日もすべり込みセーフ。エンタメ精神あふれる舞台で、楽しかった!

TBS/ホリプロ ブロードウェイミュージカル「リトルショップ・オブ・ホラーズ」

脚本:ハワード・アシュマン(翻訳:常田景子)
音楽:アラン・メンケン(訳詞:竜真知子
音楽監督前嶋康明
演出:吉川徹
テーマ曲振付:KABA.ちゃん
出演:山本耕史上原多香子越中睦(MAKOTO)/小堺一機
   Tina/浦嶋りんこ/尾藤桃子/結樺健/QOMO(チョモ)/他
   オードリー2:和田アキ子(歌&声)

公式HP http://www.lsoh.jp/
制作発表(シアターガイドHPより) http://www.theaterguide.co.jp/pressnews/2005/07/19.html
公開舞台稽古(同上) http://www.theaterguide.co.jp/pressnews/2005/11/02_3.html

11/13 (日)、13:00開演、於・青山劇場。休憩20分間を入れて、2時間10分ほどの上演時間。
楽しかった! エンターテインメントを、十分味わわせていただきました。シーモア役の山本君は、洋モノのオーバーアクションな動きが合うね〜。食人植物のオードリー2に振り回されるマイムなんか、ほんとにうまい。
初舞台の上原多香子ちゃんは、可愛かった。思ったより声も出ていて、ふわふわした不思議ちゃんのオードリーを好演している。SPEED時代の遺産か、見られることに怖れがないのね。堂々としていて、気負いないのがいい感じでした。
反対に気負いが見えたのが、オリン役のMAKOTO君。Λuciferリュシフェル)という、すでに解散したバンドのボーカリストだった人。最初は「そんなにがんばらなくても……」と思ったが、後半の歌い上げるところは、さすが元ボーカリストだった。動きも悪くはなかったですよ。
ムシュニク役の小堺さんは、芸達者。シーモアの山本君と二人で歌い踊るシーンがあるのだけれど、動きがぴったり合っている。のっぽとチビで、歩幅なぞ合わせるのが大変だろうに、二人ともうまいね。
Tina、浦嶋りんこ、尾藤桃子さんの3人は、動きが最初、ちょっと堅かったけれど、出番を重ねるたびに自然になってよかった。個人的には、Tinaさんの振りが、一番キレよく見えました。
舞台美術や装置の転換も、気持ちよく観られて満足。オードリー2のデカさと動きにも注目です。衣裳もよかったな〜。冒頭に書いたごとく、エンターテインメントを意識した仕上がりでした。ときどき歌詞が聴きとりづらいときもあったけれども、皆さん、きちんと歌えているからOK。

原作はアメリカ発のオフ・ブロードウェイで、B級ホラーとして映画にもなった作品。あらすじは知っていても、実際の映画、過去の舞台を観たことはない。
今回のみの感想でいうと、面白さのなかにも苦味があり、そこをきちっと表現していた。具体的には、シーモアたちのいるシケた花屋は、「スキッド・ロウ」というスラム街にあり、彼らはそこから一生抜け出せないだろうと、諦めをもって生活していること。登場人物たちの自己評価は、総じて低い。「スラム街に生まれて、過去のある私はダメな女。いい人と付き合う資格はない」「オリンみたいな変態がちょうどいいのよ」という、オードリーの言が象徴的である。
(唯一の“勝ち組”であるオリンは、サディストの歯医者という性格を与えられ、高慢で自信に満ちあふれている。“負け組”オードリーを手荒く扱うが、その結果、同じ名前の“オードリー2”の餌食にされる……というのも、下からの目線で考えると面白い)
自信のなさからくる自己評価の低さ、スラム、浮浪者。ね、現代日本の肖像のようではありませんか。『希望格差社会』『下流社会』といった本が注目を集める、昨今と一脈通じるところがある。
……とまあ、真面目なことを書いたりもしてみたけれど、そういう設定を笑いとばし、昇華した内容なので、おおいに楽しんで観るべし。