俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

タイトルロール・八嶋智人

八嶋智人さんへ山本耕史より

シス・カンパニー プロデュース「エドモンド」

作:David Mamet(デイヴィッド・マメット)
演出:長塚圭史
出演:八嶋智人/大森博史/酒井敏也小松和重中村まこと平岩紙明星真由美小泉今日子

8/21(日)15:00開演、於・青山円形劇場。上演は1時間35分。
長塚圭史の演出で翻訳劇、八嶋智人のタイトルロール・初主演にして、明星真由美の女優復帰作。キャストの魅力、かつ圭史の演出ということで取ったチケットだが、これほどストレート・プレイだとは!
笑いは一切なし、予想以上に話も重い。翻訳劇のストレート・プレイで、会話劇ともいえる台詞の多さ。これ、頭に入れるの大変だったろうな。
八嶋智人さんは、堂々たる主演ぶり。意外なことに、八嶋さんが主役を張るのは、今回が初めてとのこと。今まで、彼が出演した舞台は1、2回ほど観たことがあり、動ける人・うまい人だとは思っていたが、こんなストレートなのもできるのね。とにかく、八嶋さんの一人勝ちです。表現力がすごい! 顔が見えなくても、台詞だけで胸を打たれたのは「SHIROH」の上川さん以来。トレードマークの眼鏡もはずしての熱演です。TVでの顔とは、まったくちがう。でも、そのうまさが鼻につくことなく、嫌みじゃない。芝居に対して謙虚であり、真摯なんだと思う。
キャストの豪華さから、てっきり群集劇かと思っていたら、エドモンド中心の話。正直、他のキャストは通りすがりである。明星真由美さんも、本作が女優復帰の第一作にあたるが、ちょっともったいない感じ。その分、タイトルロールの八嶋さんが魅せてくれますが。

本作は1982年初演の作品だが、風俗は別として、テーマは古さを感じさせない。翔びたいわりに、女の値段を値切るエドモンドがリアルである。終盤ちかくの台詞群は、えらく哲学的で謎かけ風。日常にからめとられ、社会の拘束から脱したい感覚はわかるが、神に見張られている、というのは、八百よろずの神さまに見守られている日本人のわたしには、ちょっと出てこない台詞だった。八百よろずなだけに、福神もたたり神もいますがね。たたり神も、祀れば福に転じるつーことで。エドモンドが正座をするのが、日本ぽい。アメリカだと、体育座りになるのかなーと思いながら観た。
TVでの八嶋さん、氣志團・元マネージャーとしての明星さん、それにお笑いを求めて観に来たお客は、戸惑うでしょうね。
脚本を書いた David Mamet は、「オレアナ」の作者でもある。「オレアナ」は二人芝居で、かつて長塚京三×若村真由美バージョンを観た*1。舞台はちがうが同じ作者の劇を、父親が演じ、息子が演出している。「オレアナ」もストレート・プレイ。感慨ぶかいですなあ。

豪華キャストなだけに、会場のロビーは花だらけ。写真は、山本耕史君から八嶋さんへのスタンド花。かなり大きめ。「わ〜」と喜んでいると、同行者が「八嶋さんより、送り主の名前の方がデカッ!」。送り主の名前が大きいのは、山本君に限らず大勢いたけれど、同行者の言い方が妙におかしかったわ。ちなみに、同行者は「新選組!」も、山本耕史にも興味なしの人です。
 ●「エドモンド」シス・カンパニーHP
  http://www.siscompany.com/03produce/11edmond/index.htm

 ●「エドモンド」e+インタビュー【八嶋智人】 ←エドモンドの顔と全然ちがう!
  http://eee.eplus.co.jp/s/edmond/

*1:オレアナ」日本版は1994年初演。1999年、長塚京三×永作博美で再演。