俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

横浜で「L5Y」

平日の金曜だけど、行っちゃいました横浜へ。「The Last 5 Years」、3回目の観劇です。
3回観て、確信もっていえるのは、演出が芝居を理解しておらず、見当ちがいということです。諸悪の根源は演出だ! こんな舞台にしておいて、よく演劇雑誌に顔を出せるねスズカツは。恥じ入って旅に出ろ。
一応よかった点をあげとくと、会場がライブハウスの横浜BLITZで、音響がよかったこと。カーテンコールで、山本君が「Siksa Godness」を原詞で歌ってくれたこと。原詞の方が声を出しやすいみたいで、なめらかに歌ってました。これだけでも、横浜に来てよかった〜。Naoさんも、ちこっとハモってくれたです。

CATプロデュース「The Last 5 Years」3回目

8/5 (金)、19:00、於・横浜BLITZ。7/13、16につづき、3度目の観劇。平日金曜のため、ピンポンダッシュで定時に退社、横浜へ向かう。横浜BLITZのHPによると、1〜2階あわせて848席 (着席の場合)。前の両国「シアターX (カイ)」は最大300席なので、3倍近い規模である。
3回観て、確信した。これは演出が悪い。そう思ったら、ちぐはぐなキャサリンの鬱陶しさも腑に落ちた。だって演出が見当ちがいなんだもの、ちぐはぐにもなるわよね。
演出がだめだ、と確信したのは「I'm A Part of That」、キャサリンのほうき踊りのときです。歌詞と演技が、全然噛みあってない。むしろ相反している。もともとは、夫を愛し支えたいと思いながらも、そのために相手に振り回され“I'm A Part of That”、夫の世界の中にしか自己を見出せなくなっていく妻の、自嘲まじりの歌だと思うのね。それを天真爛漫に、ほうきで踊りながら「テヘッ☆」「お仕置きダゾ☆」みたいにされてもねえ。誇らかに“I'm A Part of That”と歌い上げるところじゃないよ。苦味がないと。実は主婦願望の強い女、という設定にするなら、もっとしっかり、そうした演出を施さないと。今までずっと、演出家の意図をはかりかねていたけれど、もういい、わかった。演出家は、この舞台を理解していない。見当がはずれてる。

キャサリン役のNaoさんは、回を重ねるごとに少しずつ成長していたけれど、それでも及第点とはいいがたい。その失点の8割くらいは演出家の責任でしょう。初舞台なのに、まともな演出をつけてもらえず、かわいそう。へっぴり腰は直らなかったけれど、ちゃんとした演出を受けていたら、ここまでひどくはならなかったのでは。
キャサリンは、現代から過去へさかのぼる難しい役なのだから、役者の伎倆に問題がある場合、場面ごとに服装を代えるとか、演出がもっと手助けするべきだと思う。あの、もっさい衣裳もひどいよね。女優志願のイキのいい女性のはずなのに、あんなズレた衣裳着せられちゃあ説得力ないもの。ほうき踊りと時代錯誤の衣裳、演出家の頭の中は「奥様と魔女」だったのだろうか。

山本耕史君は、日本語だった歌詞を、英語(原詞)に戻して歌っていた箇所があった。“For the next ten minutes”を、何度か繰り返し、英語だった。他の曲にも、あったような気がする。
キャサリンにパーティ同行を頼む「If I Didn't Believe In You」、台詞から歌い出しの冒頭まで、マイクが切られていた。音響事故? 演出上のもの?
彼は細かい演技をしてるんですが、今回気づいたのは、白シャツのボタンをはめるところ。最初は結婚式の場面、タキシードに着替えてるマイムで、ふだんは開けているシャツのボタンを大仰に締め、コミカルに襟もとを払う。次は、キャサリンとの生活に疲れて家を出る場面。のろのろと荷物をデイパックに詰め、ふと見上げた窓ガラスに映る自分の姿にショックを受ける。重い手つきでゆっくりボタンをはめ、静かに払って家を出るのだ。

さすがにライブハウス、「シアターX」より、格段に音の広がりが出ていてよかった。ミュージカル音楽を楽しむなら、こちらの会場ですね。
カーテンコールでは、山本君が「Siksa Godness」を原詞で歌ってくれた。いやー、これだけでも来た甲斐あり! Naoさんも途中でハモったりして、活き活きとしている。カーテンコールのNaoさんのほうが、舞台のキャサリンより魅力的だったので、やはり演出の不在が惜しまれる。
もし次回があるならば、今度は実力が拮抗した者同士で観たい。演出家はもちろん代えて。