俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

西炯子の漫画を語るはずが……。

チケット争奪戦に、負けた……………。

昼、友達とご飯食べて復活。最初に入った店がどうも落ち着かず、別の喫茶店で、改めてお茶を飲む。静かな店は、ほっとしますね〜。
友達と別れ、あれこれしたあと、本屋を1、2軒まわる。ハーディの『テス』が、ちくま文庫の新訳で出ていた。ぱらぱらめくってみたが、昔読んだ訳(岩波文庫だったかな)の印象が強く、文体に違和感。

テス 上 (ちくま文庫)

テス 上 (ちくま文庫)

テス 上 (岩波文庫 赤 240-1)

テス 上 (岩波文庫 赤 240-1)

文体はさておき、なかみはすごい話である。テスが恋する、牧師の息子の洗礼名が「エンジェル」ですよ! エンジェル君は神とか信仰とかに懐疑的で、いっつも悩んでまして、糸のはるか昔の記憶によれば、「使徒パウロは転向か変節か」「神が与えたもうたヨブへの試練は、果たして本当に愛なのか」等々、神学的なことにダメ出ししつづけてるんですな。
で、相思相愛となった少女・テスに「正直に何でも話して、何があっても愛してる」つったくせに、彼女が寝込みを襲われて処女ではないと知るや、「もう君が信じられない」ですよ。お前が信じられないわ! このあたり、信仰と貞節を重んじたビクトリア朝らしい展開ですね。

テスはけなげに、エンジェル君と別れたあとも一人で必死に稼ぐんですが、ああ貧乏は悲しいね、結局、自分を襲った当の相手・昔の奉公先の金持ち息子と結婚します。でも、この金持ち息子、意外に一途なんすよ。テスのどこが好きかと聞けば、「顔」と答えそうなカルいやつなんだけど、ずーっとテスに好き好き言いつづけるのね。で、振り向いてくれなかったから強姦したという。強姦すな! 何であっても、無理矢理はいくない。結局嫌われますよー。金持ち息子は、金がありすぎて愛を簡単に考えちゃったのね。それが敗因ね。

ラスト、死を前にしたテスは、戻ってきたエンジェル君に「私が死んだら、私の妹といっしょになってね」と頼むんです。このあたりの感覚、よくわからん。「君の妹じゃないか! そんなことできないよ」と、エンジェル君は一応こばむんですが、絶対結婚するねこいつは (注:その後のことは、小説中には描かれません)。で、ぼたぼた子供を生ませて、思い出話にパイプの煙をくゆらせながら「君のお姉さんは美しい人だった。しかしかわいそうな人だった…」なーんて言いそう。お前がそうしたんじゃ!
と、勝手に熱くなったところで、本日はおしまい。