俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

商業演劇としての「燃えよ剣」

明治座燃えよ剣」/主演:上川隆也

5/16(日)16:00、於・明治座。「新選組!」展のあと、もう1人の友達と合流しての観劇となった。今まで小劇場系しか観てない糸にとっては、初の純粋・商業演劇です。(←新感線と松竹が組んだのは観たけど、それとはちょっと違うと思う)

燃えよ剣」は、第一次新選組ブームを巻き起こした、司馬遼太郎の同名小説が原作である。上川隆也さんが土方歳三で、風間杜夫さんが近藤勇
脚本は「ラッパ屋」の鈴木聡さんで、NHK朝ドラ「あすか」を書いたひと。稲垣五郎ちゃんのミュージックinドラマ、「ホシに願いを」の脚本担当でもあります。
ウェルメイド系の喜劇(いい話路線)を書くひと、という印象があったので、無駄に明るい舞台だったらDoしよう! と、少々心配していたのだが、思ったほどではなかった。
まあ、原作から見ると、割と明るく、コミカルな部分が多いが、これは商業演劇からしかたがない。スター中心制度だからね。観客はスターを観に来る、ゆえに原作を知らなくてもオールおっけー。終演後は楽しく帰れることが前提だろうし、あまり血なまぐさく、シリアスなシーンは敬遠されよう。

商業演劇がスター中心制度というのは、舞台を観るとよくわかる。
上川さんの見せ場が終わると拍手。退場すると拍手。風間さんは、W主演扱いだから特別だが、主役=座長と、準主役級以外は、すがすがしいまでに「その他大勢」でした。原田左之助山内圭哉さんだったり、伊東甲子太郎が木村靖司さん(きむきむー!)だったりするけど、パンフレット見るまで気づかんかったよ。出番の数も扱いも、通行人キャラと大差ない感じ。京晋佑さんも藤堂平助役で出てきたけれど、最初はさっぱりわからなかったもの。京ちゃんは殺陣がきれいなのです。腰をぐっと落として、刀さばきがうまいのだ。

さて、準主役級といえば、羽場裕一さんの山南敬助などがあげられる。
羽場さんは、大河では山岡鉄舟だが、明治座では山南さんだ。TVで見るより、でんでんうまい! 沖田総司は、ライダー系出身で「真珠夫人」のあのひと、葛山信吾です。最初はどんなもんかな〜と思ってたら、滑舌もよくて、割と芝居のできる子みたいですね。ほえー。


芝居は4時間15分。(休憩30分・2回を含む。この間にお弁当を食べる、という寸法)
 第1幕:65分間(休憩30分)
 第2幕:70分間(休憩30分)
 第3幕:65分間

第3幕では、髪をざんばらに切って洋装した上川土方のカッコよさにやられる。風間さんの近藤勇は、明るく調子がよくて単純、憎めないキャラでした。
殺陣のシーンは、……明治座ではこれが普通なのかな。リアルなタッチを大事にした殺陣でした。劇団☆新感線のド派手な殺陣に馴らされた己れを知る。照明は? 何重にも当てられたスポットライトは? 大音量のミュージックは? そのBGMをつきやぶる刃の効果音は? それがないと物足りないカラダに…。(でも、新感線の殺陣はマジでかっこええよ)

最後に、劇場「明治座」の感想をば。
歌舞伎座や、新橋演舞場と似ている。客席への弁当持ち込みは当然、ロビーには土産物屋がてんこもり (東京名物や地方名産、アイスに手拭、民芸品、吊るしのオバ服、おかきにせんべい、昆布に明太子…)、飲食店も各種とりそろえてございます。
ここにくる団体客やおばさま方は、膝の上に弁当をひろげ、持参のお菓子などをつまみつつ、「あ、今○○ちゃん出てきたわよ」「やっぱりキレイねえ」なんて楽しむのでしょう。これぞ芝居「見物」。明治座はその点、しっかり基本を押さえていたのでした。