イラク感想
イラク人質解放を知ったのは、21時、会社のTVでだった。他部署のひとが友達からメールをもらい、TVをつけてくれたのだ。
伝えられる情報が少なかったのだろう、同じ映像(解放された直後の3邦人、その映像をみて喜びに沸く家族たち)がくり返し流れた。3邦人もご家族の方々も、日本に帰ってからが大変だろうな、と思った。
先に言っておくと、3邦人の解放は、無事でよかったと思ってます。糸の感想は、「サイコドクターあばれ旅」の方と似てます (「読冊日記」4/10、11〜14付あたり)。
つけ加えると、この邦人人質事件については、みんな「素人」な印象を受けました。
ちょっと整理。
・人質にとられたのは民間人
・組織・国家機関の仕事で来たものではない
・内戦同様の国に、個人の自由意志で渡航
(目的はボランティアだったりジャーナリズムだったり)
人質になったのが、会社員や国連の人間、自衛隊員などであれば、尻の持っていきどろが落ちつくと思うんですよ。「国が〜」「会社が〜」と言いやすいから。*1
また、そうした立場の人間であれば「職務だから」と、危険地域にいる必要性が理解されやすい。要するに「腑に落ちる」。今回の邦人は、そこがちがう。
イラクの力になりたい、と言って「捕まっていれば世話ない」といった意見は、邦人たちが身命を賭して(と思われる)イラクに行く必要性を感じなかったから、出てくるものでしょう。*2
また、行動理由が個人に帰結されるため、世人の意見・感想が、ダイレクトな個人批判、中傷に発展しやすい。広報窓口などの緩衝材がないんですね。家族の対応、世人の反応、ナマの感情がでやすく、ここも素人的。(ご家族の方は一般人なので、当然ではあるのですが)
拉致した犯人グループに関して。
「サラヤ・アルム ジャヒディン(イスラム戦士軍団)」を名乗っているようですが、大体「犯人グループ」で済まされていますね。「アルカイーダ」ほど訓練された、プロ(?)のテロ組織ではなく、地元の、無名の小さいグループなんだろうと思います。テロ行為の模倣犯、という感じ。
だから拉致できたのも、大物ではなく無名の邦人3名。それが「自衛隊撤退」を要求する、コトのでかさ。そのアンバランスさと、泥縄に思える手際に、犯人側にも素人くささを感じます。*3
で、今後のNGO活動は「政治力」が求められるのではないか、と思います。
危険区域に赴く場合、地元に話をつけて活動できるよう交渉、整備する能力がないと、活動継続はむずかしくなりそうですね。現地でなにかあっても、「あの団体所属(もしくは認可)なら、しかたがないか」と思われるだけの団体があれば、ラクかもしれない。往来御免の「赤十字」のような機構が、NGOでまとめられるといいのかな。
まったく誰も行かない、というのも、あとから「日本は平和になってからでないと、行かない。恥ずかしいことだ」と言った論調が出そうな気がします。「他国の記者は危険をおかして取材しているのに、日本のジャーナリストは安全なところから記事を買い取り」つーのも出てくるかもね。なんにせよ、むずかしい。なにが起こっても、なにか言われます。長い上に、まとまらない最後で申し訳ない。