俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

だるまさん

21:30、兄宅に電話する。「もしもし」 つながった! ここ最近、留守電ばかりで、頼まれ事がそのままになっていたのだ。「だるまさんを届けに行ってもいいですか?」

正月休みの帰省で、実家そばのお大師さんにお詣りした兄夫婦は、そこで買ってきたチビだるまさんを、見事に忘れて帰ってしまった。それを預かった糸が、届けに行く役目を仰せつかったというわけ。
兄夫婦宅は、自転車で20分ちょいの距離である。しかし夏前には兄たちは引っ越すので、こういうことができるのも、あとわずか。

呼び鈴を鳴らすと兄が出てきた。「悪いな、上がってけよ。『猟奇的な彼女』観る?」「劇場で観た」「え、観たの? じゃあ帰る?」「えー」「じゃあお茶か酒ね」

お酒や映画を観ると、腰が落ち着いて帰りたくなくなるから……と言い、結局お茶をごちそうになった。烏龍茶を、茶壺から淹れる。んが、湯こぼしは普通の深皿を使用。丁寧に淹れるのでおいしい。
部署異動による多忙で夏休みをとれなかった兄は、2月に休みをとり、夫婦で沖縄に行くという。沖縄は初めてという二人は、沖縄本島那覇から北上するそうだ。
「嘉手納基地を見たいんだ」「どうして?」「どれくらい大きいか知りたい。そうすれば、沖縄のひとの気持ちが分かるかな、と思って」
糸が初めて沖縄に行ったときは、那覇からコザ、そして南へ行った。南部戦跡を見るのが、なんとなく沖縄への礼儀だと思っていた。過去と現在、ベクトルは違っても、きょうだいだなあ。

だるまさんは、居間のテレビの上に飾られた。奥さんの好きなハイジのおもちゃフィギュアシリーズ、土産物っぽい寒暖計、一輪挿しの間にちんまり鎮座めしている。
「統一性ないかなあ?」と奥さん。「家庭っぽいです」と糸。兄の家はhomeである。