俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

学問の道。そのあと「BENT」

大学で学んだ教授が定年で辞められるという。その最終講義を聴きに行った。
久しぶりに訪れた大学構内は、小綺麗に整備され、かなりの様変わり。かつて灰色アスファルトと土が見えた歩道は、余すところなく煉瓦ブロックで舗装され、心なしかよそよそしい感じ。以前の土くさい、あかぬけないところが魅力だったのに〜。

退職される先生のご専門は日本近世文学・比較芸能史である。最終講義は15:00から、題目は「細部に神宿り給ふ −国文学私論−」。
先生の経歴と研究、功績が紹介されたあと、いよいよ講義が始まった。お姿、口調、ユーモア、糸が在籍していた頃と変わらない。 90分間 (大学の1コマって、90分でしたね)、みっちり講義していただく。久しぶりに「学んだ!」という感じ。内容も興味深く、まったく飽きなかった。

先生の講義を拝聴し、学問は積み重ねなのだとしみじみ思った。新しい説、新しい道筋をたえず検討、取捨選択し、己の幅を広げていく。その集約を今日、かいま見た。
先生の日本文学、文化を愛する気持ちが伝わってくる、すばらしい講義でした。

さて、講義が終わったあとは、会場でしばらくぶりの同窓生たちとお茶。ずっと話していたかったが、あいにく芝居のチケットをとっていたため、お先に失礼する。
向かう先は、渋谷PARCO劇場。椎名桔平篠井英介が出演する「BENT −ベント−」を観るのだ。

「BENT -ベント-」

ナチスドイツの同性愛者迫害で、強制収容所に入れられたゲイが主人公だが、ナチも同性愛も、舞台装置のひとつに過ぎず、その本質は「愛」をめぐる物語。
入口に山本寛斎からの花が、ひときわ大きく飾られていたのには笑ったけれど、椎名桔平、よかったですよ。ひさびさに、愛について考えた夜。