俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

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民族音楽〉との邂逅 ―― 小泉文夫のメッセージ@東京芸大奏楽堂

東京芸大の教授で、日本、および民族音楽の研究に尽くした小泉文夫の三十三回忌を記念したコンサートに行ってきました。
13:00開場・14:00開演、於・東京芸術大学奏楽堂。二幕構成で、終演は16:45頃でした。プログラムは長唄南インド・ヴィーナー、同・声楽、インドネシア・バリガムラン (グンデル・ワヤン「ムラッ・ンゲロ」)、モンゴル・ホーミー、ウイグル・ラワーブ、邦楽囃子 (三番叟〜五人囃子といっしょ〜)、尺八、雅楽 (高麗楽)、インドネシア・ジャワガムラン (小泉文夫 “頌”)。
それぞれ15分ほどのパフォーマンスでしたが、ふだん接することのない民族音楽を聴くことができて、大変面白かったです。南インドの声楽が、ちょっとトランスがかってましたねえ。
パンフレットも、小泉文夫先生の業績と功績を盛り込んだ読みでのあるもの。最初から芸大に進んだ方ではなく、もとは東大文学部で美学美術史学科だったのが、日本音楽史の講義で地歌の実演を聴き衝撃を受け、近代標題音楽に関する卒論で東大を卒業したそうです。のち大学院に進学、N響機関誌の編集委員になったり、平凡社に勤めながら音楽公演の企画をしたり、インド政府給費留学生になって海を渡ったりしています。当時の平凡社だったら、それくらい社員を遊ばせる度量あっただろうな〜。26歳から33歳まで勤めて退職、東京芸大桐朋学園などで教鞭を執り、多彩な活動を続けられました。
この三十三回忌記念コンサートはたまたまアジア中心でしたが、パンフレットを見ると、東欧やアフリカ、アラブ世界の音楽も渉猟し、とにかく精力的に活動していたことが見てとれます。本当にすごいんですよ! 世界各地を回って、日本では講義もして論文や本も書いて、メディアに出ては民族音楽の紹介につとめ、いつ寝てるのか心配になるほど。結局、多忙で癌の早期発見が遅れ、56歳で肝不全のため逝去。この方がもっと長生きしてくださっていたら、もっと民族音楽の研究や理解が進んでいたんだろうと思わせる経歴でした。
だって、東京芸大ですら、邦楽科をなくそうという動きがあったそうなんですよ。それに反対した一人が小泉先生だそうです。いやー、国立の芸術大学で、自国の音楽科目をなくそうという意見が出たとは……びっくりです。あ、もちろん現在も邦楽科は存続しておりますよ。

帰り道、上野公園を通り抜けました。巨木が多くて緑に癒されたな〜。せっかくなので、友達と3人でお茶していきました。