俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

芝居と書店と伊勢丹と

件名の通りです。昼は芝居観て、紀伊国屋で本を買い、伊勢丹のデパ地下スイーツを物色して歩く。おせちコーナーもまだあったよ。

座頭市

【原作】子母澤寛     【音楽】遠藤浩二
【演出】三池崇史     【衣裳】半田悦子
【脚本】NAKA雅MURA   【殺陣】二家本辰巳

【出演】
座頭市哀川翔  神撥の八:阿部サダヲ
太夫麻路さき 竜之介:遠藤憲一
吾六:長門裕之 
田中隆三(権蔵) 松浦佐知子(お紺) RIKIYA(蘭丸) 野村祐人(黒蝮の錠) 青山草太(黒蝮の涼) いとうあいこ(お奏) 中田博久(浅川の親分) 永澤俊矢(熊吉) ほか

企画制作:梅田芸術劇場
http://www.umegei.com/zatoichi/index.html

12/9 (日)、13:00開演、於・新宿コマ劇場。上演時間は3時間30分 (20分の休憩含む)。
映画監督の三池崇史が、舞台で「座頭市」に挑む。主演は哀川翔、脇に阿部サダヲ。三池監督の舞台演出はこれが2度目で、最初は「夜叉ケ池」でしたね。主演の松田龍平目当てだったけれど、文芸大作のせいか冗長で。今回の「座頭市」はさすがにエンタメ、役者陣もよく楽しめました。
哀川翔は、これが初の座長公演で、なかなかの好演。サダヲさん(耳の聞こえない琵琶法師役)も、兄ィを立てて出しゃばらず、しかしきっちり見せてくれる。やっぱこの人天才。お笑いからシリアスまで無理なく演じ、細かい芝居もしてるのよ。相変わらず、情感の出しかたがうまいわー。旅芸人一座の座長・朱太夫役の麻路さきさんは、元宝塚の実力で、着物をさらっと着こなしている。ちゃんと着物を着ていたのは、麻路さんと長門裕之さんでしたね。
今回の特筆は、なんといっても長門裕之さん! 墓掘り人の吾六役だが、時代劇の身ごなしがぴたーっ!と板についている。そして地味に上手。さすが大ベテランの映画俳優です。今まで、長門さんはTVでちょい観た程度しか知らず、ごめん舐めてた。見る目が変わるうまさですよ。板子一枚下の内面に説得力があるのね。長門さんの吾六・サダヲさんの八は難しい役だが、二人ともよく演じて余すところなし。同じ多面性でも、茶屋の下働きの娘・お糸の子なんか、とって付けだったからねえ。若いせいもあるけれど。
さかりをすぎた女形・蘭丸役が下手だった。がんばってはいるのですがね、この人がしゃべると芝居がとまるので困る。ほかの脇役陣(おそらく映画関係)はちゃんと締めており、観ていて気持ちがよかった。

三池監督の演出は、やはり映画の人。間合が長いんだよね。冒頭のアングラ風出だしは、映画演劇関係なく、そういう世代なんですなきっと。
もともとの座頭市の話自体が、新感線風味(順番としては逆なんだろうけれど)なので、つい見比べてしまう。けっこう、新感線ぽい演出も多かったなあ。題材ゆえに、似てしまうのだろうけれど。しかし、やられキャラの「黒蝮の錠&黒蝮の涼」兄弟なんか、タイソン君とインディ君かと思ったよ!(モヒカン・パンクの派手派手キャラで、あっという間に倒される) 知人に聞いたら、先行して深作欣二監督「必殺4〜恨みはらします〜」(1987年) に、髪の毛染めて立たせ、極彩色にかぶいた愚連隊がすでにあるとのこと。うーんさすが深作さん。
サダヲさんの八の衣裳が、「朧の森に棲む鬼」のキンタっぽい。しかしキンタのように八は強くないので、サダヲさんの殺陣は特にない。殺陣氏も新感線とは無縁らしいが、終盤のたたみかけるような殺陣はよかった。なお、脚本家は「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」のひとでした。