俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

「L5Y」再演

いちじくのタルト、生クリーム敷き

昨日のうちに台風一過、今日はカンカン日照り。最近、天気の話から始めてばかりね。
で、まあ、暑かったわけです。新大久保から東京グローブ座まで、じわじわ太陽光線に焼かれながら、山本耕史君の「The Last 5 Years」再演を観てきたよ。くわしい感想は下記参照。
写真は観劇後に寄った喫茶店で、いちじくのタルト。いちじくはそのままでも、お菓子にしてもおいしーい。同行者としゃべっていたら、その後の趣味の講座に遅刻しちゃった。携帯アラーム設定をまちがえてOFFにしてたみたい。

CATプロデュース「The Last 5 Years」(再演)

【台本・作詞・作曲】ジェイソン・ロバート・ブラウン
【演出】鈴木勝秀
【訳詞】高橋亜子
音楽監督】深沢桂子
【出演】ジェイミー/山本耕史 キャサリン井手麻理子

9/8(土)13:00、於・東京グローブ座。上演時間は1時間30分ほどのミュージカルだ。
2005年日本初演のキャサリン役はNao、再演では井手麻理子。ジェイミー役は引き続き山本耕史日本初演時の感想はid:orenade:20050713、id:orenade:20050716#p1、id:orenade:20050805。すいません3回観ました「新選組!」で山本耕史君にハマりたてで全部長くてすいません。

うーむ……。書くのがむずかしいね。
悪くはなかったし、井手さんの表現力もよかった。でも、心の底から沸き上がるものがなかった。
まず、キャシーのことから書いてみようか。井手キャシーは、大人の女性でした。歌もブレず、初演でブチ切れた“ほうき踊り”でも、揶揄と自嘲を紛れ込ませて、キャシーが実は納得していない、というのがわかるように演じている。初演のNaoキャシーは、このあたりが整理できずに分裂してて、演出もろくでなし、ちょっとかわいそうだったわ。
ただ、井手キャシーは貫禄がありすぎた。ジェイミーに、いつまでも引っかかっているような女に見えないんだよねえ。さっさと見切りをつけて、自分から別れるほうが似合ってます。仕事に対しても、最初の夢に固執せず、別のアプローチを見つけられる女性のように思える。一言でいうと肩肘はらない人。
キャシーのエキセントリックで、中島敦いうところの「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」からくる振舞は、初演のほうかな。Naoキャシーは、今から思えば、追いつめられ感がよく出てた。演技はズタボロだったけどねー。怒りのNaoキャシーに対して、井手キャシーは諦念を感じる。よくも悪くも大人。ほんとに、キャサリン役はむずかしい。
一方、山本ジェイミー。男性パートの1曲目「Shiksa Goddess」では固く見えたが、次の「Moving Too Fast」からは軽快に。相手役が変わったおかげか、ジェイミーの性格が、初演よりも子供っぽく見えた。こういうのは再演の面白さですね。

舞台美術は、初演時とほぼ変わらず。演出面で大きく変わったのは「衣裳替え」。初演では同一衣裳を通し、変化づけに上着を羽織る程度だったのを、再演ではまるっとお着替えしてた。キャシーは赤黒ドレスから生成り、ジェイミーは白シャツジーンズからダークスーツへ。そういう意味では、わかりやすくなっている。キャシーの衣装がましになってて、よかった……。あとは「The Schmuel Song」で、ジェイミーが Schmuel や clock のときに帽子をかぶり、前うしろに動かして「いま別人格」とアピールしてた。別になくてもよかったです。
初演は二人とも若々しく、知らないうちにズレが生じたライブ感があったが、再演では大人になり、過去の再現ドラマを見ているよう。シーンごとに、二人のズレや身勝手さ、すれ違いが浮き彫りになる。よりドラマティックになったが、その分、若さの勢いは失われた。どちらがいいとか、言いがたいですね。むずかしい、むずかしい。2年経って、こちらの見方も変わっているし。
まだ本公演から2日目だからか、模索中にも思われたので、今後、もっとよくなるのではないかしら。個人的には、自分から男を捨てそうな井手キャシーが、それでもすがりついてしまう愛の不可思議とかなしさを観たい。ジェイミーについては、キャシーに一目惚れした理由を知りたい。いろんなふうに読めて、「L5Y」は面白いですね。

Last Five Years

Last Five Years

ところで、自分でもまさか「山月記」が出てくるとは思わなかったっす。高校時代の国語の教科書がなつかしい。作者欄の写真、中島敦の瓶底メガネを、いつもうっとり眺めてました。青空文庫の「山月記」、張っときます。