俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

文化の日

本日より3連休。明日あさっては昼から用事なので、今日は家事をまとめてこなす。宅配便の受取とか、その他もろもろ。夕方から外出。池袋サンシャイン劇場で「ウーマンリブ先生」である。

ウーマンリブvol.10「ウーマンリブ先生」

【作・演出・出演】宮藤官九郎
【出演】松尾スズキ(夏祭冬助:カサイトウスケ)、池津祥子(河西春:カワニシハル)、伊勢志摩(男島礼子:ダンジマレイコ)、宍戸美和公(シズル)、猫背椿(椎名あや:シイナアヤ)、皆川猿時(橋爪巌:ハシヅメイワオ)、荒川良々(じゅん:ジュン)、平岩紙(アオバ)、少路勇介(猿飼洋介:サルカイヨウスケ)、星野源(小田島:オダジマ)、宮沢紗恵子(ミズホ)、宮藤官九郎(屋敷:ヤシキ)
古田新太(塩谷五郎:シオヤゴロウ)

11/3(金・祝)、19:00開演、於・池袋サンシャイン劇場。上演時間は約2時間20分。
もう「vol.10」かあ! 早いなあ。宮藤官九郎さんのユニット「ウーマンリブ」を観始めたのは、1999年のvol.4「ウーマンリブ発射!」からだから、もう7年ですよ。ひー。10回目を記念してか、ロビーには今までの公演ポスターが並んでいて、懐かしかったです。9月の「大人計画フェスティバル」グッズも売ってたよ。
さて、幕開け2日目と、早い段階での観劇。間など、まだ測りながらやっている風もあるが、面白かった。以前の「グレープフルーツちょうだい」「熊沢パンキース」のノリに近い。ウーマンリブ以外では「鈍獣」かな。要するにブラックなのね。ホラーだす。宮藤さんの世界だわ。
ウーマンリブ発射!」の頃の宮藤さんは、まだ青くさくツッパってて「俺はうまくなりたくねえ!」「宮藤も大人になったねなどと言われたくない。辻褄のあった話とか伏線とかどうでもいい、ハチャメチャな、破綻した物語をこれからも書いてやる!」などと吠えていて (立ち読み雑誌のコラムかインタビューで、2回くらいそういうの読んだ。雑誌名を覚えてないのが悔やまれます)、「それで書いたのが『ウーマンリブ発射』だ!」とも言ってた。それだけのために書いたとは思わないけど、TVの深夜ドラマ脚本やバラエティ番組の構成で注目されはじめた頃だから、きっとバランスをとりたかったんだろうなあ。当時の宮藤さんは29歳、翌2000年の「池袋ウエストゲートパーク」でブレイクして30歳。30直前て、そうよねー。大人になりたくない、みたいな。みたいなー。力がむやみに入るの。
その頃から思うと、宮藤さんはうまくなったよ。大人になったよ。オヤジ雑誌「週刊文春」で子育てコラムを連載するくらい大人だよ。肩の力が抜けて、いいバランスなんでしょうね。
で、「ウーマンリブ先生」です。役者・松尾スズキが一番の目当てでしたが、古田新太さんと並んで観られて、ちょっと贅沢な気分。動き方がちがうねー。松尾ちゃん、もしかしてスロースターターかしら。古田さんは安定した演技。塩谷五郎になるきっかけが、佐木隆三西村望の実録小説みたいで、見せ方も再現フィルムのようだったのが面白かった。宮藤さんが、古田さんの凄みをよく引き出している。松尾さんに対しては、ちょい甘いかな。
平岩紙ちゃん、公演ごとによくなってますね。関西弁がうまいっ! 違う役柄でも観たいな。「ウーマンリブ」の猿川皆時さんは、面白いよねえ。

今回は、「ウーマンリブ」より「大人計画」色を強く感じた。本公演にしてもよかったかも。外部キャストが古田新太宮沢紗恵子の2名だけで、大人計画の役者が総出演に近かったせいかしら。殺意の化物の演出が、松尾さんぽく感じちゃったのも一因かもしれない。なんでだろ、あれ、松尾さんを思い出しちゃったのよねえ。仮託、イメージを起こしてキャラクター化されていたからかな。
つねづね思うのだけど、松尾さんより宮藤さんの方が、毒強いよネー。他者・自己への視線が、冷めてるの。松尾さんが被虐的で、毒の中にも裏返しの愛あるMなら、宮藤さんは加虐的で放置プレイのS。松尾さんの芝居は独白が多いが、宮藤さんはない。主観の松尾に対して、宮藤は客観。笑いがふんだん、スピード感ある演出でスラッと流されそうになるけど、けっこう宮藤さんの芝居には悪意がある。ただ、視点が昆虫の眼のように客観的で、乾いているため、重さはあまり感じさせない。で、最後、切りっぱなしの放りっぱなし。救いがないのに、軽いんだよね。ここが松尾さんとの、一番の違いだと思う。比べやすいので、つい比較しちまいました。すみません。

【2006.11.8追記】殺意の化物の件りが、どうして松尾ちっくに感じたのか分かった。多分きっとおそらくデザインが「松尾画」なんだと思われる。ったく、この仲良し師弟め! かわいすぎ。