俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

阿部サダヲ「TR」

昨夜の話だが、ようやく、阿部サダヲさんの「トップランナー」を観た。かーわーうぃーうぃー。終始うつむき加減で、ゆったりめの一人掛けソファのはしっこに、ぴたっとくっついてる。両足の膝もあわさっていて、いいですねー。この羞じらいがたまりません。自分は、つねづね椅子に座る男性の両足、股の開き具合に注目するのですが、思いきり開いてる俺様男は苦手です。アキがこぶし1つ分くらいの、遠慮と精神性のある座り方がよろしい。まあサダヲちゃんのは、単に緊張していただけかもしれないけれど。そんな緊張の合わせ目が、たとえばクドカンとか松尾さんとか、知っている人が出てきて徐々にゆるんでいくのも麗しい眺めです。途中から妄想です。

サダヲちゃんの、気が弱そうに見えて断定な口ぶりが面白かった。劇団に入るまでの心境とか、かなり真面目に話してた。彼、大人計画をすごく愛してるのね! 大人計画を出る気はありますか、という質問に、「ないですね」と即座にきっぱり。顔をあげて「松尾さんが大人計画をやめても、僕がつづけます」とまで言いきってた。「新選組!」のOJ齋藤みたい。
大人計画に入って10数年、「(劇団が) 東京の、もう一つの実家みたいになってて。 松尾さんがお父さんで、社長がお母さん……兄弟もいっぱいいるし」「(劇団の人たちとは) これからも、一生付き合っていきたい」こうまで言わせるくらい、愛してるなんて、ふだんの寡黙なサダヲちゃんからは予想もつかなかった。ただただ、びっくり。

番組を観ていて、思い出したサダヲさんのエピソードを2つ。
野田秀樹に「お前みたいな役者は、たいてい家庭に何かあったか、トラウマがあるものだけど、実際のお前には、そういうのはないのな!」と言われたこと。時期的に「ローリング・ストーン」の頃だと思われる。
・ある日、松尾さんから下北沢まで呼び出されたこと。「なんだろう」と思いながら行くと、なんということもなく、松尾さんが自転車を買ってくれた。それだけだった。「なんだったんだろう」というサダヲさんに、宮藤さんのナイスな解説「それ、松尾さん“今後ともよろしく”と言いたかったんだよ」

松尾さんと宮藤さんとの演出のちがいで、松尾さんの方が諦めが早い、という話。実際、松尾さん本人が、対談かインタビューで言ってたなあ。「稽古で4、5回やらせて、演出もつけて、それでも思うようにいかない場合、その台詞や出番をそっと削ります。削った部分は他の役者に振り分けたり、自分が引き受けたりする。だから昔は、自分の出番が多くて大変だった。今は役者も成長して、自分は演出に力を入れられるようになりましたね」たしか、こんなん。宮藤さんが熱くて粘る、というのは、彼の演出には休憩がなくて大変だとか、そのへんの話と通じてそう。劇団外のゲストさんが、クドカンは稽古場で笑いながらも「あともう1回!」としつこい、とか言ってた気がする。古田さんだったかなあ。覚えてないや、すみません。