俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

補遺

長谷川一夫の「ベルばら」、演出風景をご紹介。

「お化粧はな、できるだけ漫画の通りに描きや」
長谷川にこう言われるまでもなく、榛名は原作の絵柄とにらめっこでメークを研究した。…………外面から入った役作りは、長谷川の演技指導で生き生きと動き始める。
「客席2階の手すり見て、左目を左肩の方に落として、あご引いて、目線をすーっと『い』の23番席あたりに流すんやで」
流し目の教え方ひとつとっても、懇切丁寧で具体的だった。「さすがにお客さんの目線に立って勝負してきた役者は違う」。榛名は一言一句も聴き逃すまいと必死になった。
……再演のたびに、榛名は演技指導に出向き、長谷川のもたらした様式美を後輩たちに伝える。
「いま、歌舞伎は演技と踊りだけやけど、宝塚には歌もある。ほんまの歌舞伎やねんで」
長谷川の言葉が、いつも心の中にある。
――「異分野の技を吸収しろ 榛名由梨の場合…宝塚歌劇団・植田紳爾理事長(3)」、asahi.comBe on Saturday」2003年7月19日付より*1

榛名由梨さんは、宝塚で初代オスカルを演じた方です。

例えば「ベルばら」では、歌舞伎出身の映画俳優、長谷川一夫が演出を担当し、歌舞伎的な様式美を採り入れた。主役の感情が頂点に達する場面で、歌舞伎の見えのように一拍置いてポーズを取る。舞台に出る前は時間を十分に取り、“待ってました”と興奮させる。
――「鳳蘭さんに聞く、ベルばらブーム──戦後60年、継承の行方(3)」、「日経ネット関西版」2005年8月6日付より

長谷川一夫は、徹底的に型をつくって演出したようだ。うーん、さすが歌舞伎出身!
昭和版と平成版「ベルばら」では、演じ手や組の個性に応じて、多少ノリがちがうようだが、基本的には長谷川演出を踏襲しているもよう。宝塚専門の有料TVチャンネル「スカイ・ステージ」HPが、「スカイ・ステージ・トークSpecial『ベルサイユのばら』特別編・『ベルサイユのばら』Check It Out!」内で、歴代のベルばら・トップスターたちのトークのもようをUPしている。
このトークとはちがう日なのか、ネット徘徊していたら、以下のBBS過去ログを見つけた。紹介させていただく。

前夜祭のトークショーで、榛名由梨さんが「どうやったら、まんがのように目の中に星がはいるんだろう」と長谷川一夫先生に聞いたところ、「台詞の後にあそこのスポットライトをじっと見れば光って見える」というような答えが返ってきた・・・というエピソードを思い出しました。
――BBS「過去ログ」(「文句があるならベルサイユにいらっしゃい!」HPより)

長谷川先生、意外と現実的な答えをなさいますのね。