俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

10月。秋だ。

さわやかな秋晴れで、心地よい風。洗濯機を2回まわして布団も干し、久しぶりにみっちり掃除をした (でも片づけは適当)。午後は青山で「吉原御免状」観劇。

劇団☆新感線吉原御免状」2回目

10/1 (土)、18:00開演、於・青山劇場。1回目の観劇もよう(9月17日)は、id:orenade:20050917を参照。
てなわけで、2回目です。舞台の流れがわかっているので余裕があった分、初回で気づかなかった、群衆や脇の細かい演技が目に入る。それにしても、タイトルバックの舞台構成は、何度観てもぞくぞくしちゃうわ。

堤真一さんの松永誠四郎、いいですね〜。殺陣では、腰を落としているのが好印象。「野獣郎」のときは、棒立ちかよと思ったくらい、突っ立ってたからなあ。背丈が高いから、中腰になっても分かりにくいのよね。でも「御免状」の、堤さんの殺陣はいい。二天一流の刀さばきは難しいだろうに、きれいな動きで魅せてくれる。
舞台最後の、〆のセリフは、試行錯誤しているみたいだ。堤さんの持つ朗らかさが、役によく似合っているのだが、それゆえに、虚無をにじませたセリフは、出し方がむずかしい。
ところで、初回では、恋模様の軸である勝山大夫に目がいったが、今回は、高尾大夫に感情移入してしまった。誠四郎にとって、結局“通りすがりの女”でしかないことを承知しており、自らを律して、枠から出ない。原作で、彼女の末路を知っているだけに哀切だ。「誠さまの夢に、私は出てこなかった……」前回では聞き流していたセリフが、耳にのこる。もう少し高尾の覚悟を見せてほしかったけれど、そこまで丁寧につくると、細かすぎて空中分解しちゃうだろうし。うーん、やっぱりしかたがないか。

誠四郎に名主就任を願うところ、応酬に間延びがなくなり、誠四郎の婉曲な断り文句が、観客にも「断ったんだな」と伝わりやすくなっていた。この場面での三浦屋さんは、気持ちがはやったのか、口舌が早すぎ・叫びすぎなのが惜しい。
惜しいといえば、おひょいさん。役の雰囲気には合っているのに、セリフが……。前もセリフは怪しかったけれど、今日は登場シーンから噛んで飛ばして、困ったもんだ。おひょいさんが口をひらくたび、「ちゃんと言えるかしら」とハラハラドキドキ。これは恋じゃない、恋じゃないぞ!

「夢」のシーンで、傀儡(くぐつ)一族が大宴会をしている場面。右近さんを含む4〜5人が、端っこで馬跳びをしていた。右近さんが飛ぶ番になると、お馬さんの女性が「ふむっ!」という空耳が聞こえそうなくらい、ふんばって揺れていたのがおかしかった。もう痩せる気はないんですか右近さん。

物言いばかりみたいだけれど、舞台そのものには満足しています。見ていて気持ちのいい舞台。原作のスピリットも十分に汲まれ、本当によくやったと思う。最初は、役者の第一番は松雪泰子さんだったけれど、二回目の今日は、堤真一さんかな。東京楽(10月5日)まであと4日、役者、スタッフともども、がんばってください。