俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

オペレッタ狸御殿

昨日の日記、すげえ断言ぶり。「じきに明らかにされる」って、思いきり憶測じゃん。夜中に書いたものって恥ずかしいぃ。反省。

つい二度寝したら、ものすごくお腹が減っていて動けなかった。馬鹿だ。お腹がすきすぎて気持ちわるい。重い体をひきずって、味噌汁と納豆ごはん(ごはんは冷凍)をつくる。
ごはんを半分食べたところで、血流がめぐりはじめて眠気がきた。自分の体は単純なので、すぐに結果が出るのだ。欲求にしたがい、寝る。7分くらいして、また起きあがり、ごはんの続き。行儀わるいけど、しかたない。そのかわりエネルギーがいきわたり、体が軽くなる。単純ー。
動けるようになったところで、買い出し。米5kg、人参、蓮根、ほうれん草、アスパラガス、玉葱、玉子。さて、今日の夜ごはんは何でしょう。

答え:きんぴら蓮根。しかし本日のメインディッシュは、映画です。「オペレッタ狸御殿」観てきたー。評判をきくと好悪わかれるようだけれど、個人的にはでーんでん面白い!

オペレッタ狸御殿

鈴木清順監督。主演は狸姫にチャン・ツィイー、前髪の若君・雨千代にオダギリジョー
日曜日の最終時間帯(18:30〜20:30)とはいえ、館内は15名ほどでガラッガラ。
それでも、いやーおもしろい! つーかこれ、新感線じゃ!
劇団☆新感線の「踊れ! いんど屋敷」と「天保十二年のシェイクスピア」を足して二で割ったよう。おポンチ(ネタもの)と様式美だわ。新感線も「ゴローにおまかせ3」で、実際に狸を擬人化*1して歌い踊っていたし、清順さんと同じく「狸御殿」シリーズが頭にあったのかも。だったら似ててもおかしくないわけだ。

清順映画は、旧制中学生の青春を描いた「けんかえれじい*2しか観たことがなかったが、大丈夫、いけますわ。
書き割りの背景に豪華絢爛な衣裳、もちろんお着替えは頻繁に。カット割が楽しーい。美男美女で、どこまで遊べるかを試したような映画。よくまあ、こんなポーズを……。チャン・ツィイーはプロ! よくこんな映画に出てくれたなあ、と思ったら、

脚本を読んで……疑問だったのは、なぜこんなに著名な監督が、こんなに童心にかえった映画を撮るのだろうと思いました。
――「オペレッタ狸御殿」パンフレットより(今現在、パンフを人に貸しているので、うろ覚えです)

やっぱりー!
パンフの続きでは、「映画に対する愛情ですね」ときれいにフォローしてるけど、ぜってー前の方が本音だろ、ツィイー。しかし彼女は、いかにも「お姫さま」な、堂々たる美女ぶりを発揮してくれました。日本の女優さんで、20代の正統派美女かつ「私は女優よ!」オーラをむんむんに発する人っていないよなあ。
対する美男・オダギリジョーもいいすよ。憂いを含んだお顔で、お花畑を歌いながら舞い踊るなんて、並の神経じゃできません。これがお姫さま映画であることをしっかり認識してて、チャン・ツィイーをうっとり眺めるまなざしが、た、たまらん。受け身王子様のあるべき姿ですね。パパイヤ鈴木と相対する場面で、素で笑ってるとしか思えない笑顔もかわいいわ。
平幹二朗由紀さおりは、自由に画面を遊んでいて、さすがにベテランだと思った。

個人的には、それほどカッティングが細かいとは思えず、ゆったりした進行。2時間弱の上映時間はやや長いが、このテンポは昔の監督さんだからかな。エノケン映画なんか、今の感覚で観ると、ほんっと冗長で、昔の人は気が長かったんだなーと思うもの。清順さんは、本当は書き割りを手書きでやりたかったらしいが、美術の木村さん(エライ人らしい)に「今はCGでしょ」と、あっさり蹴られたそうだ。そのミチは詳しくないですが、手書きからCGへの移行には、手間ひま・お金・技術継承者の不在があるんでしょうかねえ。
各種雑誌のインタビューをみる限り、一番の狸は、監督の鈴木清順さんでした。

*1:狸とウサギのロミジュリ話。自分はこれが初・新感線だった。

*2:1966年、日活、白黒フィルム。学生の頃、TVで観た記憶が。最後の北一輝に、当時はそういう憧れの対象だったのか気になった。時代とエネルギーのはけ口としての象徴だったのかしら。