俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

みたび五右衛門

SHINKANSEN☆RX「ZIPANG PUNK〜五右衛門ロック3」@東急シアターオーブ

【脚本】中島かずき
【演出】いのうえひでのり
【作詞】森雪之丞
【出演】古田新太 三浦春馬 蒼井優浦井健治 高橋由美子橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと/村井國夫 麿赤兒
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ/
村木 仁 川原正嗣/冠 徹弥 教祖イコマノリユキ 

1/22(日)14:00開演、於・東急シアターオーブ。上演時間は、休憩20分を挟んで3時間45分ほど。長っ!
昨年、スカイツリーと並んでオープンした、渋谷ヒカリエの中の劇場です。初めてヒカリエ行ったー! でも劇場だけで他の階を見る余裕なかったよくすん。
劇場は3階席まであり、かなり大きなハコでした。調べてみたら座席数1,972席ですって。PARCO劇場が458席、シアターコクーンが747席、青山劇場が1,200席、赤坂ACTシアターが1,324席ですから、いかに大きいかお分かりですね。ちなみに、今はなき新宿コマ劇場は2,088席でした。ほほう。

さて、この「五右衛門ロック」シリーズは、新感線の「音モノ」と呼ばれるジャンルで、生バンドが入って歌い踊る、肩の力を抜いた活劇です。何も考えずに笑って楽しんでおしまいの、娯楽かくあるべしを体現したお芝居ですね。
新感線は、シリーズ化されると「三部作」で完結なのですが、今回がまさに、〆の「3」です。意外や意外、前作の「薔薇とサムライ」と連動していたよ! いつもは前作も前々作も、あんまり関係ないような気がしますが。今度の「3」は、けっこう「1」「2」と関連づけられていましたね。もちろん、1も2も観ていなくても楽しめる仕様ですが。

今回の若手ゲストは、三浦春馬蒼井優三浦春馬が、バカを全力で楽しく演じていて、よかった! この子すごく動けるのねえ、歌って踊れてキレがいい。殺陣もスピードがあって腰の据りがよく、流れるようにきれいなんですよ。時代劇イケるわ春馬。つーかやって! NHKの、その手のドラマに出るといいよ。
蒼井優もかわいかったですねえ。ニーハイは正義。スタイルいいな〜! しかし、新感線のこの手のキャラ(元気いっぱい、おきゃんな女の子)の衣装って、いつも同じよね。ニーハイの絶対領域。つうかさあ……いのうえさん、こういう女の子のこういう格好、好きだよねー。
蒼井優は「猫の目お銀」という女盗人役なのだけど、名前の通り猫娘っぽく、「にゃ」「に゛ゃ!」と何度か言うのですよ。私、蒼井優ちゃんは好きだけど……ごめん「にゃに゛ゃ!」は正直うざかった……。自分が男子なら「蒼井優、萌える…!」となるだろうに、ああ、ワタシ、女なんだな…って思ったよ……。
という個人の感慨はさておき。
三浦春馬は「明智心九郎」という京都所司代で探偵家業をする切れ者で、蒼井優の「猫の目お銀」と、ほんのりラヴい展開になるのですが、これがまあ、小6か中1くらいの恋、大昔の別マみたいな。ハグもなければキスにもいかない、あれだ、絵柄が変わる前のくらもちふさこですよ。いや、そこまで甘酸っぱかないけど、予感で終わる恋。ので、ラヴが物足りない観客もいるかもしらんですね。いのうえ演出に、高校生ラヴや大人ラヴを求めてはいけん。

豊臣秀吉を演じた麿赤兒さんは、さすがです。登場シーンは多くないのに、秀吉の化け物ジジイを演じて余りある重量。古田の五右衛門の上を行く大物っぽさを、きちんと出していらっしゃいました。麿さん、かっけー!
もうお一方の重鎮ゲスト、村井國夫さん。この方、昔は「国夫」表記だったよね? 2012年1月から改名したらしいです。
なぜ新感線に、と思ったけれど、わりとミュージカルにも出ていらっしゃるんですね〜。それでか。確かに低音ボイスは素敵だったんだけれど、周りが濃ゆい役者ばかりのせいか、少々地味だった感は否めませんでした。悪役の親玉だのに、押し出しが弱い。実生活では、いい人なんだろうなあきっと。
久しぶりの出演ながら、新感線ではお馴染み・高橋由美子は、妙な貫禄が出ていて、怪演でした。彼女の演じた「春来尼」は、いわゆる八百比丘尼ですね。
あと、前作「薔薇とサムライ」のシャルル・ド・ボスコーニュ役で今回も出演した、浦井健治! 本作の突き抜けっぷりも最高です!
前田慶次郎役の橋本じゅんは、ちょっとモタついていたかな……。フリーダムに遊ぶシーンがなかったからね。

五右衛門ロック3」、とても楽しめる舞台でした。でした、けれども。
上演時間が長過ぎた。正直、摘めるシーンは多かったと思います。人数もね。時代的に、前田慶次郎入れたかったんでしょうけれども、ぶっちゃけ、出さなくても成立したよね。
歌に時間をかけすぎ。台詞でいいのに、なにも歌わんでも……という場面が多かった。歌うと、そのぶん時間食うんですよ。結果、どんどん長くなる。歌だと台詞も聞き取りづらいし、少しイラッとしたときもありました。
あと、2004年のミュージカル「SHIROH」とカブるシーン、けっこうありましたよね。歌を台詞でつなぐ…ああ、SHIROH。堺の町を守り闘い、包囲される……これもSHIROH。三浦春馬上川隆也ですね。脚本・演出・作曲、全部同じ人だから、しかたないのかもしれませんが、それにしてもSHIROHでした。むずかしいものですね。