俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

だいじょぶ?

大人計画「ドブの輝き」昼公演を、当日券で観てきた。昨夕、電話を30分かけ続けてGETしたよ。いやー、昼公演だとその後の行動に余裕があるね!(お茶したあと、デパ地下と本屋3店流して、地下鉄2駅分歩いて地元駅に着いて、ローソンでチケット取って、スーパー寄って帰宅22:30)
さて、芝居のかんたん感想。今回は宮藤官九郎井口昇のフィルム/松尾スズキの3本立てでした。休みなしの立て続けで、2時間半ちょい。3本のなかで、一番面白かったのは宮藤さん。井口監督のは、配役がよかったねー。近藤さんの昭和40年代前後の好青年とか、宮藤さん・皆川さんの使い方が楽しかった。松尾さんのは、……不完全燃焼ですね。松尾好きだから書くのはつらいけど、なんだかなあ、松尾さんの精神状態が、よくも悪くも出てるのかしら。改めて、だいじょうぶ松尾ちゃん!? と思ったよ。でも44歳の心境としては、ああなのかなあ。

5月1日前後に発表された、松尾スズキ降板→代役・池田成志ですが、特に問題はなさそうですよ。すごく嬉しそうに、阿部サダヲが成志にツッコんでました。一瞬にして、新感線か?と思うような空気感(個人観)が漂いましたが、そこはやっぱり大人計画でしたね。次のシーンはふつうに戻るのね。

大人計画「ドブの輝き」

5/13 (日)、14:00、於・下北沢本多劇場宮藤官九郎井口昇のフィルム/松尾スズキの3本立てで、上演時間は休憩なしの2時間半ほど。
劇団結成から20年目を迎えた本公演は、主宰・松尾スズキの降板に見舞われた。理由は体調不良、過労による腎炎。「日刊スポーツ新聞」2007年5月2日付によると、4月末にドクターストップがかかり、約1か月の自宅療養とのこと。代役は池田成志
池田さんは、松尾さんと同い年で、同じ福岡県出身、初演版「悪霊」で共演した仲である。大人計画に出るのは、まさにその「悪霊」以来。松尾さんの降板は残念だけど、代わりがなるしーなら、それはそれでおいしいかも……と、瞬間的に思ったことを告白しておきます。チラシキャスト表の代役説明では、「池田成志さんにご出演頂きます」という低姿勢な文面でした。
また、平岩紙ちゃんが、宮沢紗恵子さんとのWキャスト。TVドラマ「特急田中3号」収録との兼ね合いでしょうね。パンフレットは1000円。

「涙事件」
【作・演出】宮藤官九郎
【出演】涙おさむ:村杉蝉之介/涙さゆり:平岩紙宮沢紗恵子/さゆりB:皆川猿時/涙史郎:宮崎吐夢/涙きよし:池田成志/涙ハイネケン:伊勢志摩/初枝:猫背椿/麻井:田村たがめ/杉田:宍戸美和公/歌手:宮藤官九郎/裁判長・藤田光明:荒川良々/検事:阿部サダヲ/弁護士:池津祥子/弁護士助手:近藤公園/警護:顔田顔彦

3作品中、いちばんまとまっていて、ふつうに面白かったのがこれ。主演は村杉蝉之介さん。昨年の「ウーマンリブ先生」といい、クドカンうまくなったよね。わりとかっちり作ってあって、題材的にも、これクドカン? 松尾さんぽいーと思いながら観てた。いい話で終わらず、最後にオチつけるところは、やっぱり宮藤さんだけど。
配役は、役者の既存イメージに沿った、当て書き多し。宮沢紗恵子さんの声が、平岩紙ちゃんに似ていたのは演出なのか、それとも地声なのかが気になる。顔田さんは、ほんとにしゃべらないほうがいいね。セリフが浮く。オチの苦しさを、もう少し役者さんに言いくるめられたかったかな。
もともと松尾さんがやるはずだった役は、話のメインと関わり少なく (忙しい松尾さんへの配慮だったのだろうが)、「せっかく成志なのに……」と残念なくらい。サダヲさんが、嬉しそうに、アドリブで成志につっこんでいたのが微笑ましい。松尾配役の残滓としては、好きな映画がパピヨン、伊勢志摩さんと絡む、というあたりかしら。

「えっくす」
【監督・脚本】井口昇
【出演】金剛和雄:近藤公園/金剛俊介:宮藤官九郎/金剛哲平:皆川猿時/金剛ルリ子:伊勢志摩/金剛タエ:戸山貞子/田村:宮崎吐夢/ガッツ:猫背椿/桜木:村杉蝉之介/武沢:宮沢紗恵子/ポコちゃん:松尾スズキ/ビックちゃん:阿部サダヲ/オドちゃん:池津祥子/アブやん:荒川良々/キカッチ:顔田顔彦/高橋アッコ:宍戸美和公/山下スミレ:平岩紙/山下由香:田村たがめ

井口昇監督のフィルム。いちばんカッ飛んでいたのはこれ。なおかつ、緊張して観てました。井口監督としては、おそらく、一般観客にかなり配慮したと思われます。それでもマニアで自分に正直なつくりだわ。スカトロなくてよかった。
配役の妙と、瞬間風速MAX笑いは、この「えっくす」がいちばんかも。クドカンがかなりおもろいです。宮藤・皆川コンビが、たのしーい。主演の近藤公園さんは、山田洋次作品に出てきそうな好青年ぶり。この人、こういう古風な役が似合うのね。新鮮だわ。
いちばんカマされた瞬間風速は、松尾さんの「疲れやすい」でした。降板前の撮りで、これには笑った!

「アイドルを探せ」
【作・演出】松尾スズキ(協力:大堀光威)
【出演】ワタナベ:宮崎吐夢/まつぼっくり・スズカゼマヨ:池津祥子/猫の死体・石黒:村杉蝉之介/コンドーム:宮藤官九郎/ブルーシート・むっくりおじさん:荒川良々/オマケ:顔田顔彦/剣:近藤公園/ツララ:猫背椿/浅利ケータ:皆川猿時/キノコ:田村たがめ/浅利秀吉:阿部サダヲ/ミョンミョン:伊勢志摩/カオルコ:宍戸美和公/ミノムシ:平岩紙宮沢紗恵子

いちばん中途半端だったのがこれ。今年3月の「ぴあ」インタビュー内容から、かなり期待していただけに肩すかしをくった気分。面白いところはあるんだけど、松尾節もあるんだけど、全体的に拡散、散漫な印象。主演の宮崎吐夢さん、少し弱い。でも気弱な感じはいい。固さがとれると、もっとよくなると思う。
「涙事件」の宮藤さんが松尾寄りなら、「アイドルを探せ」の松尾さんはクドカン寄り。猫背さんのツララの出し方が、なんだかクドカンに見えたの。ホラー演出も、ああいうのはクドカンぽくないですか? 松尾さんも、今まで包帯出したりゾンビ出したりしていたけれど、ちゃんと意味があったんだよねえ。怖がらせるためのホラーは、むしろ宮藤さんでしょう。
おこめ券の歌、昨年の大人フェスの使い回しですよね。もともと、いつか使おうと思っていたのか、時間がなくての2次利用なのか。歌自体はいい歌詞なんだけど、ただの使い回しだとすると、ちと萎える。歌の分量が多め(に思えた)のは、秋に「キャバレー」の演出をするせいだろうか。けっこう、松尾さん、歌とか踊りとか好きだよね〜。
結末の判断がむずかしい。松尾さんに逃げられたのか、それとも、40代のファンタジーはこうなのか。率直な心情を舞台にのせた、のか。松尾さん、ゆっくり休んで、よく養生して、復活してください。松尾さんの、もっと形になった解を、観たいんです。

公演初日から、まだ4日目。ダメ出しのような感想になってしまったけれど、どうぞご容赦。松尾作品のキャスト表に、池田成志の名前はないけれど、ちろっと出てきますよ。時事ネタあり。「将軍!」