俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

てんこもりの1日

わんこ

いろいろあった日であった。
大人計画フェスティバル劇団先行を捨てて、現在公演中の舞台・当日券予約の電話をリダイヤルしつづける。10:15前後、つながった! 3度目の正直で取れた。この土日で東京公演終了だから、もうだめかと思ったわ〜。
その後、身内から電話。いい話を聞いて、一気に感情が上向く。上々の結果になりますように。あ、見合とかじゃないすよ。起動したiBOOKがいきなりクラッシュしたけれど、なんとか強制終了させて、11;30すぎに外出。一大決心をして申し込んだ、夏の旅行の関連書類提出&受取りをする。
それから有楽町へ移動。友達がお手伝いしている、お茶会イベントに行ってきた。茶の作法を基礎に、紅茶から日本酒までお点前披露のイベントである。略式での饗応になるが、いやあ楽しめました。煎茶、紅茶、日本酒道のコーナーがあり、まずは日本酒道から。所作や流れが、茶道おのヴァリエーションみたい。茶碗ならぬ猪口でいただく。凝った酒が多々おいてあり、うれしいねえ。写真は、同イベントの紅茶道から。13:00〜14:00頃までいたかな。
さらに移動し、野暮用をすませてから下北沢へ。補助席、座布団席、キャンセル待ちの人々が、本多劇場の階段の上から下まで並んでいる。キャンセル待ちの人数もすごいね。そんな調子で、大人計画「まとまったお金の唄」を観てきた。当日券がとれてよかった!
21:40、満足して帰途に着く。半日で3カ所移動したが、まあよかった。ここで終わればいい話なんだが、メールが来たのだ。「天災により旅行中止ほぼ決定」ひーーーー!

大人計画「まとまったお金の唄」

【作・演出・出演】
松尾スズキ
【出演】
馬場:宮藤官九郎 /蝶子:伊勢志摩 /新宿:菅原永二
蒼木ヒトエ(母):荒川良々 /蒼木ヒカル(長女):阿部サダヲ /蒼木スミレ(次女):市川美和子 /博子:平岩紙
カクマル父:村杉蝉之介 /カクマル:近藤公園
神木:内田滋 /ダイナマン松尾スズキ

5/27 (土)、19:00開演、於・下北沢本多劇場。当日券で座布団席。上演は2時間25分ほど。
前回の「イケニエの人」にくらべて、笑いがふんだんにあった。笑えるし、おっかしいんだけれども、同時に悲しくもなる。笑いでコーティングされているけれど、実際リアルに感じてしまった。これってマジックリアリズム
大阪万博の1970年、大阪を舞台にした一家の話。最初は正直、松尾ちゃんも昔話をするトシになっちゃったの? と思ったが、それは杞憂に終わった。役者陣はみんないい。阿部サダヲさんの、かわいらしさといったら! 「キレイ」のハリコナ入ってますよ。かーわーいーいー。
女子高生役の阿部ちゃんは、走り方、座り方、内股、しなの作りようが、カンペキ女の子。どんどんかわいく見えてくる。ボルテージのあがった阿部ちゃんのツッコミ跳び蹴り、漫画のようにきれいに決まってた。かっこいいわあ。
宮藤さんの京大ヒッピーくずれは、大変によろしい。ベルボトムと長髪が似合う似合う。昔の寅さんの映画に出てくる、しょむない青年みたい。宮藤さんの、スチャラカなのに怖い部分がよく出る役柄だった。もとの元凶は馬場なのに、一番被害者ヅラで、自分勝手 (念のため、宮藤さん本人のことではないですよ)。馬場の言い訳を聞いていると、非常に人間だなあ、という気持ちにさせられる。
市川美和子ちゃんも、がんばってた。阿部・市川シスターズが並んだ絵ヅラは、笑っちゃうくらいアンバランス。さすがモデル出身、腰の位置がたっかーい。美和子ちゃん演じるスミレは、姉ばかり贔屓されることに不満をもち、引っ込み思案だけれど注目されたい、ややこしい性格(しかしその心はよく分かる)だが、この子は自分でとどのつまりをつけ、自立するのね。強い子です。
神木役の内田滋君も、きれいでそつない。「業音」以来だけれど、うまいわー。

この話がよくできていると思うのは、冒頭からヒカル(阿部サダヲ)の情緒不安定が、周囲によって指摘されていること。初めてキュンと来た相手が、女と見まがう美少年の神木だったこと。女らしく振る舞えば振る舞うほど、違和感があること。『ブレンダと呼ばれた少年』*1を思い出しました。ちゃんと考えてあるよ、ほんと。
そしてエンディング。大震災のあとの崩落になっている。少し前なら、終戦後の焼野原がくるところ。21世紀にもなると、終戦の焼け跡はタイムラグがきっついのね。直接的な絵作りの難しさを感じた。今回の舞台では、朝鮮や靖国など、国の関わる事柄について、わりとストレートに言及していたのが目をひいた。松尾ちゃんはどこへ行くのだろう。大阪での反応もみてみたいけれど、関東から出られまへん。

*1:生後8か月で、包茎手術に失敗しペニスを失った少年が、女として育てられた実話。ずっと己の体(性)に疑問を持ち続けてきた「ブレンダ」は、14歳で真実を知り、男としての生を選ぶ。が、幼少期の過酷な体験は、彼と彼の家族に爪痕を残した。以下参照。
「医者の確信という恐怖 ブレンダと呼ばれた少年」(「EP:end-point 科学に佇む心と体 Pt.1」HPより)
http://am.tea-nifty.com/ep/2004/07/reimer.html
「『ブレンダと呼ばれた少年』の死」(「Le Journal de La Princesse frivole」HPより)
http://journaldepf.jugem.cc/?eid=222