イメージ連鎖

交差点で信号待ちをしていたら、背後から担架（ストレッチャー）が運ばれてきた。
白いシーツの担架に横たわっているのは、20代とおぼしき女性。肩から足首まで、オレンジの毛布で巻かれている。黒いバンドを紐のように回して固定し、毛布を人がたにつくっていた。
毛布の先から、足がにゅっと突き出している。目をつむった白い顔、広がる黒髪。彫像のようにぴくともしない。おそらく貧血失神だろう。救急員がストレッチャーの段差を上げ、救急車内に人がた毛布をスライドさせた。母親とおぼしき初老の女性が、手荷物を両手に、救急車内に乗り込む。そこで信号が青に変わり、救急車を背に交差点を渡った。

会社からの帰途、思い出した。白い台に横たわった彫像のイメージ。
古代エジプトの木乃伊だ。……