俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ」@TOHOシネマズ日比谷

先月の11月9日に公開され、興行収入が右肩上がりの「ボヘミアン・ラプソディ」を会社帰りに観てきました。今年3月に開業した日比谷ミッドタウンの中に、初めて足を踏み入れましたよ〜。
TOHOシネマズ日比谷、Dolby ATMOS(ドルビーアトモス)のスクリーンです。ドルビーアトモスとは、簡単に言うとサラウンドがすごいやつで、スピーカーを左右のみならず、天井にもつけて、音を立体的に聞かせるもの。UKロックバンド「クイーン」の伝説的ボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記的映画を観るのにいいでしょう?

ボヘミアン・ラプソディ」は、10月に「2001年宇宙の旅IMAX版を観たときに流れた予告編で、興味を引かれたんです。あ、なんか面白そう、って。
そうしたら、配給元も予想していなかったほどの観客動員、興行収入。「クイーン」の楽曲と、フレディ・マーキュリーの謎めいた魅力のせいでしょうか。
私自身は、「クイーン」はそれほど知らず、あの曲はクイーンだよと教えられれば「そうなんだ、聞いたことあるー」と答えるレベルです。フレディについて言えば、亡くなった1991年11月24日は、リアルタイムで報道されて世界的に騒がれたのを覚えていますが、やっぱりその程度。まだ大学生だったなー、あの頃。
フレディやクイーンに興味が湧いてきたのは、社会人になって、いろいろ世間を知るようになってからですね。年上の方から、彼らの話を聞いて、すごいバンド、すごい人だったのだと思いました。コンプレックスを抱えた人間は、面倒くさいけれど、深みがあります。フレディ・マーキュリーは、何重ものコンプレックスと、それと同等の自信をもった人でありました。
ボヘミアン・ラプソディ」は、フレディだけではなく、バンド「クイーン」の映画でもありましたね。正直、フレディ以外のメンバーは知らなかったのですが、役者が本人にクリソツでびっくりですよ! フレディ役のラミ・マレックも、舞台上のパフォーマンスがPVのフレディを見ているようで、すごかった。まだ本人の記憶が生々しい人物を演じるのは、キャスト全員が大変だったでしょうが、そのぶん素晴らしい出来だったと思います。

ただ、筋立ては、ちょっと粗かったかなあ。フレディと「クイーン」の歴史が2時間ちょっとで収まるわけはないので、しかたないのですが。フレディ父子の対立と和解、バンドメンバーとの軋轢と仲直りなど、とってつけた感がありました。ほかにも、ときどき「あれ?」と思ったところがあったけれど、話をわかりやすくして、映画として盛り上げるために、少々時間軸をいじってましたね。
フレディの性的志向についても、本人が生前、公的にはカムアウトしなかったせいもあるけれど、ちょっと綺麗に描きすぎているように思えたな。気になったのは、エイズの見せ方。フレディが亡くなったときは、確かに治療法も確立していなかった頃で、HIVに感染後、発病を遅らせる薬もできていませんでした。だから「不死の病」のように描くのも、いたしかたない面もありますが……うーむ。
あ! でも、メアリーとの関係は面白かったです。フレディは、肉体的には無理になっても、精神的には彼女をずっと愛していたのだなあ。それも、同性の恋人にとっては酷な話のように思われますが (じゃあ、自分はなんなの?となりませんか)、人の感情は、正しい・正しくないでは割り切れないですものね。
フレディにとって、メアリーは、「なりたい自分」だったのかしら。そんなメアリー自身も、好きになった相手からはいつもフラれる、と自嘲していました。自分の100%思い通りになることなんて、ないのね。
ラストは、1985年7月13日の「ライブ・エイド」。ライブ・エイドとは、平たく言うと、世界でアフリカの飢餓を救おうキャンペーンです。これも記憶に残っているわ〜。その「ライブ・エイド」で、クイーンが魅せた約20分間のパフォーマンスの再現。これが、噂通りすごかった!
会場からステージ、観客が振る旗、ピアノの上に置かれたペプシの紙コップのマークまで、完全再現。それで、……やっぱりクイーンの楽曲がいいんですよ〜!
音楽は言葉も人種も性別も、すべてを越えますね。