俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

お祭り舞台

劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり「五右衛門 vs 轟天

【演出】いのうえひでのり
【脚本】中島かずき
【出演】古田新太 橋本じゅん松雪泰子 池田成志 賀来賢人/高田聖子 粟根まこと
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ╱村木 仁 冠 徹弥 教祖イコマノリユキ 川原正嗣 (川原は東京公演のみ) ほか

8/2(日)14:00開演、於・赤坂ACTシアター。20分の休憩をはさみ、終演は17:20。
新感線も、もう35周年なんですねえ。○周年記念といえば、おポンチ!というわけで、人気を博したシリーズの主役2人が対決する運びになりました。すなわち、古田新太演じる「石川五右衛門」と、橋本じゅん演じる「剣轟天」です。
石川五右衛門は、名前の通り戦国時代の大盗人だが、釜茹でにはならず世界を股にかけて活躍するし、剣轟天は風魔一族の末裔という設定で、原型は千葉真一のアクション映画という濃いいキャラクターです。私は五右衛門も好きだけれども、何より轟天が! 轟天が好きなんです!!!
さらに本公演は、主役二人だけではなく、客演の二枚目担当・賀来賢人賀来千香子の甥)を除いた全員が、過去公演から引っ張ってきたキャラクターで出てくるんですね。まさに「オールスターチャンピオンまつり」。どやっ!

轟天役の橋本じゅんさんは、デ・ニーロのごとく、役に合わせて身体造りをするので有名でしたが、数年前に腰をイワして主演舞台を途中降板してからは、そこまで無茶なことはできなくなりました。もしやったら、まじで役者生命終わるからしなくていいんですが、やっぱり思ったよね……。腰をイワす前のじゅんさんが演ったら、もっと迫力あっただろうな、って。そして、「轟天1」が私にとっては最高の舞台だったと再確認しました (世間では2作目が最高傑作と呼ばれています)。私が求めるのは舞台の完成度ではない……轟天がどれだけ魅力的で活躍度が高いかなのだッ!
というわけで、轟天の活躍度としては、他劇団の宮藤官九郎が作・演出したスピンオフ作品「轟天vs港カヲル」のほうがよかったです。クドカン轟天の大ファンだから当たり前なんですが、私どんだけ轟天が好きなんだっていう話ですね。

ところで今回、轟天を超えて輝く一人の役者がおりました。
池田成志です。新感線にはおポンチでしか呼ばれないのが、彼の立ち位置を明確にしております。もうこの人おもしろすぎる!
お顔は整っているんですよ。往年のジュリーを小粒にして小悪党にした感じです (褒め言葉)。50歳を過ぎた男がねえ、網タイツはいてビジュアル系バンドメイクをして、某Xの真似をしながら、全力で歌い踊り狂うんですよ。もう目が釘付けですよね。胡散臭いのにかっこいい、かっこいいのに胡散臭い彼の魅力が爆発してます。成志先輩が観られただけでも、今回の舞台は相当お得だと思うわ。

客演でただ一人、今回お初の賀来賢人は、おばか二枚目キャラをよく演じていたと思います。ただ、そのキャラクター自体が新感線でよくある設定なので、正直「またか」と思いました。賀来賢人がどうこうではなく、あくまで「設定」の話ですよ? おポンチだからしかたないと思う反面、そろそろ二枚目の趣向を変えてほしくもあります。
なんだかんだ書きましたが、全体としては何も考えずに笑える楽しい舞台で、新感線らしいお芝居でした。こんなバカバカしい舞台を、アラフィフの劇団員が全力で演じるところに新感線の真骨頂があります。ありがとう新感線!