俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

寺山修司×松本雄吉

寺山修司没後30年╱パルコ劇場40周年記念講演「レミング〜世界の涯まで連れてって〜」

【作】寺山修司(今回の上演台本には天野天街が参加)
【演出】松本雄吉
【出演】
八嶋智人 片桐仁 常盤貴子 松重豊
花井京乃助 廻 飛呂男 浅野彰一 柳内佑介 酒井和哉
鹿内大嗣 金子仁司 KEKE 高木 健 金子紗里 
あやちクローデル ?安智実 ?田郁恵 今村沙緒里
笹野鈴々音 万里紗

5/12(日)14:00開演、於・渋谷PARCO劇場。
今年は寺山修司没後30年だったのですね。かつ、PARCO劇場40周年ということで、劇場側が今年1年間は記念公演打ちまくりなのですが、その一つが今日の舞台です。
演出をする松本雄吉さんは、劇団「維新派」の主宰。私、この劇団が好きなんですよ〜、昔のアングラの匂いがします。つっても、アングラ自体はよく知らないんですけど (そんなんばっかだな)、なんか匂うな、ということで。そんな松本さんが、かつて時代の最先端をいっていた寺山修司の「演劇実験室◎天井棧敷」最終公演「レミング」を演出するとあっては、チケット取りますよね〜!

寺山修司の戯曲を、松本雄吉の解釈で手を入れて上演。
メイン・キャストは八嶋智人片桐仁松重豊常盤貴子の4人です。
維新派」の劇団員でない者たちがどう演じるかにも興味があったのですが、いやあ、さすが芸達者! 八嶋さん、片桐さん、松重さんときたら、すんごくうまい、間の取り方とか小気味いいね。
寺山らしく、やっぱり「母」が出てくるのですが、その母親役を演じたのが松重さんです。で、やっしゃんがマザコンの息子なのね。母が疎ましい、でも捨てられない、でも離れたい抹殺したい、できない……いやーん寺山だわ。
そんな芸達者に囲まれた常磐貴子は……うん、きれいでした。がんばってた。

観劇後、芝居チケットの半券を持っていれば無料で観覧できるという「寺山修司と天井棧敷◎全ポスター展」にも行きました。このポスター展は、毎年恒例だそうです。
芝居の後にこれらのポスターを眺めると、演劇が「カウンター・カルチャー」として息づいていた時代があったのだと、しみじみ痛感しました。政治に、世間に、小市民にもの申す手段としての演劇。いま、そんな舞台が、いや演劇に限りません、音楽でも活字でも漫画でも、あるでしょうか?
歌舞伎だって、その昔は、エンタメと反社会性が融合したものだったはずなんですよ。芸能・芸術には、娯楽性以外にも、世の流れに棹さす役割があると思うのですが……社会のエネルギーが枯渇しているのでしょうか。