俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

観劇と展覧会

5月の仕事状況があまりに嵐だったため、2週続けて土日が休みということに幸せを噛みしめております。たとえ趣味関係や観劇その他で埋まっていても、休みは休みなのだ!
てなわけで、本日は観劇とダ・ヴィンチ展を観てきました。帰りに同行の会社の先輩と飲んで、ああ幸せ。

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎「シレンとラギ」@青山劇場

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:藤原竜也 永作博美高橋克実三宅弘城 北村有起哉 石橋杏奈 
   粟根まこと 高田聖子 橋本じゅん古田新太
   右近健一 逆木圭一郎 河野まさと 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 
   礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁 他

6/3(日)14:00開演、於・青山劇場。2幕(20分休憩)で、前半が2時間弱、後半が1時間というところ。
永作博美があまり好みでないこともあって、正直、それほど期待はしてなかったんですよね。大河「新選組!」以来、魅力のある子だと思っている藤原たっちゃんにしても、今までナマの舞台を観たことあるのは蜷川ロミジュリ一本で、まずシェイクスピアでしょ、蜷川でしょ。特殊だよねええ! だいたいあのときは、たっちゃんよりも高橋洋さんにヤラれたし、要は未知数だったわけですよ、蜷川芝居以外での藤原竜也が。
いやあ、エロかった! たっちゃんエロいわー。色気あるわー。アンニュイな雰囲気を漂わせつつ、ちょう肉食。ぐいぐい押せ押せの口説きっぷり。それがまた、サマになってるんだ。あんなこっぱずい口説き文句、すらすらと言って、いつの間にか女を抱きしめている手際のよさ! さすがと言えましょう。
シェイクスピアで鍛えられているだけあって、中島脚本の説明ゼリフも、なんなくこなしてましたね〜。ときどきナレーション風だったけれど。ふつうの芝居(新感線も特殊ではありますが)もできるんだな、と確認。
永作博美は、雑誌の近影を見ると「童顔とはいえ、やっぱり老けたなー」と思ってましたが、舞台はメイクのせいもあるのか、全っ然、若い! たっちゃんと並んで違和感なく、ほんと年齢不詳です。役柄と合ってますね。好みじゃないけど、上手くはあるのよ。

以下、ネタバレ含みます。
南北朝を下敷きにした、日本であるようで、日本でないどこか。永作博美は暗殺者・シレン役です。また「狼蘭族」か! 好きだなー、かずきさん狼蘭。(「蛮幽記」で出てきた、暗殺を生業とする一族。あとで人から聞いたところ、狼蘭族の設定は、前も使ったことがあるから今回も、程度らしいです。気に入り設定なのかと思ったわ)
上にも書いたけれど、あまり期待してなかった分、楽しめました。ある意味、安定の中島かずきクオリティ。男女の相克が、演者の力もあって(藤原竜也古田新太)無理なく表現できていたかと思います。いつもはもっと、付け足しっぽく浮いてるよね……!
話の筋の、ひとつの柱である恋愛部分は、井原西鶴なんですが (私にとって、インセスト・タブーは西鶴なんです。それかギリシャ悲劇)、ドロドロな設定のわりに、私、さらっと流しちゃいました。藤原くんのラギが、なんであそこまで悩むのか……いや、それはショックだろうけどさあ、「愛とは殺すこと」とか、真顔で言っちゃうあたりが、藤原くんじゃないと出ない説得力だよね!
愛に迷ったシレンとラギの、再会シーンでのやりとり。最後、格好いいセリフで締めるんだけど、肝心の恋愛感情については、いっこも解決してないよね……!という辺りが、いかにも中島さんらしいなと。今回はほんと、良くも悪くも中島脚本ですね。
今回のもうけ役は、高橋克実さんでしょう。剛胆な教祖さま。名前(ゴダイ)からして、後醍醐天皇がモデルですよね〜。真言密教立川流
サンボ君(河野まさと)のヒトイヌも、おいしいよね。サンボ君は、公演を重ねるごと、地味によくなっている気がしますよ。
損な役回りは、北村有起哉さん。ゆっきーの役、正直、居ても居なくてもよくね? ゆっきーがやるほどの役柄ではない気がします。モブの斬られ役がやっても、十分務まるんじゃないかな〜。
三宅弘城さんは、新感線以外でも、こんな役柄が多いですよね。安心して観られるんだけど……そろそろ飽きた。
古ちんは、これこそ安定の古田新太で、ワルい顔がよくお似合い。舞台を引きしめてくれます。数年前の酒焼けでダブついた身体から、よくここまで戻ってきてくれました。アカドクロの頃など、さようなら古ちん、とまで思ってたもん私。
物語としてのインセスト・タブーに、それほど重きを置かなかったせいか(個人的に、日本人はこの禁忌に関して軽めだと思ってます)気づかなかったんですが、知人が「藤原竜也主演の『身毒丸』も、意識した脚本なのでは」と言うのを聞いて、なるほどと納得。アンニュイで悩める青年のたっちゃんは堪能したので、次回は S で鬼畜な彼の舞台が観てみたいです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想」@渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム

シレンとラギ」観劇後、足をのばして Bunkamura まで。母からもらったタダ券で、ダ・ヴィンチ展を観てきました。所用時間は、1時間ちょっとかな。
「ほつれ髪の女」が初来日、だそうですが、そこまでダ・ヴィンチに詳しくない自分、へえそうなんだ、程度の気持ちで行ったら、けっこう混んでました。ダ・ヴィンチの作品だらけかと思いきや、彼の作品は点数が少ないので、モノホンは三分の一もあったかどうか。同時代の画家の作品や工房作品、モナリザ模写など、周辺から迫る手法の展覧でした。
しかし、弟子の模写を見たあとで、真筆のダ・ヴィンチを観ると、これが劃然、歴然と違います。天と地ほど違う。ダ・ヴィンチの旦那の訴求力、はんぱないっす。
ルーヴルにある「岩窟の聖母」とは別の作品や、「アイルワースのモナ・リザ」と呼ばれる、ダ・ヴィンチ作としては疑わしくも、魅力ある絵画を観られたのが収穫でした。