俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

遅い夏休み

うちの勤め先は、10月中旬まで夏季休暇をバラけて取得することができる。仕事が一段落して、遅めの夏休みを1日取った。
うす曇りの空だが、ちょっとでも布団を干す。洗濯をする。掃除機をかける。たまったアイロンがけをする。ふだんサボっているせいか、まとめてやると達成感あるね〜。
お茶を飲んで、調べものをしたり、買ったまま放置していた本を見つけたり。ほんとに忘れてて、別の文庫本読んでたわ。先に読んでいた本はこちら。

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

今年4月に亡くなられた免疫学者・多田富雄氏のエセー。小林秀雄賞受賞も深く肯ける好著です。泣いた。久々に「生きる」ということを考えた。脳梗塞に倒れ、生死の狭間から還り、重度の障害者となった著者は言う。生き方は選べるが、死に方は選べないと。半身不随になって初めて知る、人間の体がどんなに複雑な動きを一瞬でこなしているかを。
リハビリで体が完治することはない、リハビリをして戻した身体機能は、リハビリを続けないとすぐに消え、退化していくのだ。つまり、一生リハビリは続く(続けざるを得ない)のに、厚生省は医療保険で受けられるリハビリに日数制限(最大180日)を設けた。これは死ねということである。著者は当事者として、リハビリ撤廃運動の先頭に立つ。恥ずかしながら、私はリハビリ制限のことをまったく知りませんでした……。リハビリ制限は小泉政権の所産。現在も制限は続いているようです。
エセーの最後のほうで、著者が自らの症状の固定化を冷静に述べている箇所は、しんとしてしまう。恨むでもなく、運命を受け入れ、己れを客体として見る、静かな眼である。私は「兎の眼」を思い出した。