俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

声優の力は大きい

男子はだまってなさいよ! vol.7「天才バカボン

【原作】赤塚不二夫
【作・演出】細川徹
【美術】五月女ケイ子
【音楽】スチャダラパー
【出演】松尾スズキ 荒川良々 釈由美子 大堀こういち 五月女ケイ子 皆川猿時 坂田聡 小浜正寛 (ボクデス) 今野浩喜 (キングオブコメディ)

7/31(土)19:00開演、於・下北沢本多劇場。上演時間は約1時間45分。
男子はだまってなさいよ!」は、放送作家細川徹が率いるユニットです。大人計画とつながりのある役者の出演率が高い印象。
バカボンのパパ松尾スズキバカボンのママが釈由美子バカボン荒川良々ウナギイヌ皆川猿時、おまわりの本官に大堀こういち、バカ田大学の後輩に五月女ケイ子。ごめん、レレレのおじさんが誰だったか忘れた。キングオブコメディ今野浩喜は、オリジナルキャラだったと思う。さすが芸人、呼吸がうまかったです。以上、敬称略。

今年は松尾さん、役者イヤーなんだろうか。「裏切りの街」に続いて、2度目の役者出演です。しかも大ファンの赤塚不二夫原作だもんね。楽しそうにやってたなあ。
松尾さんが赤塚不二夫(原作)のキャラに! 良々さんがバカボンて、まんまやなーというのに加えて、
大人計画のブレーキの壊れたダンプカー皆川猿時、元ジョビジョバのブレーキの壊れたダンプカー坂田聡と二台のダンプカー」(男子はだまってなさいよ!HP)
という、キャッチフレーズにやられてチケット購入。「ブレーキの壊れたダンプカー」って、秀逸な形容だわ!
通しのストーリーはなく、コントをつないで場面場面で転換していく作り。まだ、赤ちゃんのハジメちゃんはおらず、釈由美子のママが妊婦という設定。主要な登場人物は、漫画のまんまの衣装です。

松尾さんは楽しそうだったけれど、バカボンのパパの声優さんの声が空耳で聞こえて困った。やっぱり、パパは昔見たアニメの声で再生されちゃう。バカボンやママ、他の人物では気にならなかったんだけど。
良々さんは、良々さんでした。キレのいいバカボンで、こちらも楽しそうに演じてましたよ。釈由美子のママは、もっとパパやバカボンにひどいことされると思ってたら、案外ふつうでしたね。いろいろひどいことされて困るほうが、ネタ的においしかったんじゃないかしら。今回が初舞台だそうですが、これでよかったの?
で、壊れたダンプカーの片割れ、皆川猿時さんは、抜群の面白さ。この人は観るたびに面白さを増すなあ。だって役柄がウナギイヌだよ! てらてら光ってきんも〜☆なのが、この人にとっては魅力になるからおそろしい。
五月女ケイ子さんは初めて観たけれど、独特の味わいがありますね。飄々として動じないのがよろしい。とぼけ具合が、平岩紙ちゃんと少し似ているかも。

原作が赤塚不二夫で、舞台はコントで、楽しかったは楽しかったですよ。でもなんか、予想を超える面白さがなかった。そこが残念。バカボンのパパが、脳を他人と取り替えるコントで「浅利慶太と……」と言った瞬間に、会場が爆笑したの。それって先が見えてるわけじゃない。実際その通りだったじゃない。同行者と「浅利慶太は、演劇人みんながやりたくなるネタなのか」「案の定ライオンキング」「80〜90年代がキャッツで、00年代はライオンキング。そろそろ次のネタ欲しい」などと、好き勝手に言い合ってました。
観るほうもそれなりに楽しかったけれど、観客より、演じ手のほうが楽しい舞台だったのではないでしょうか。
個人的に、一番面白かったのは、ウナギイヌの合コン・コントでした。キングオブコメディ今野浩喜さんが演じるOLと、皆川さんのウナギイヌ恋物語。今野さんのOLが、魑魅魍魎の合コン会場で唯一の常識人、という設定をきちんと守っていてよかったです。常識があるから、非常識が生きるわけさ。