俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

柳の下には

パカッと仕事が空いたので、荷物をまとめて映画を観てきた。レディース・デーで映画1000円、阿部サダヲ主演の「なくもんか」です。

阿部サダヲ2度目の主演映画「なくもんか」

主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎、監督・水田伸生と、2年前の映画「舞妓haaaan!!!」と同じスタッフが贈る2匹目のドジョウ映画。
面白かったですよ。『舞妓』とは違うものをつくりたかったのも分かる。でも、こりゃ明らかにサダヲクドカン目当ての客を当て込んでるでしょ。ドジョウ以上には見られなかったな。
宮藤さんが「初めて“家族”をテーマに」、という時点で嘘つけッ! だもんね。あんた家族ドラマつくりまくりでしょうが。TVでは「タイガー&ドラゴン」から「未来講師めぐる」、直近の舞台では「R2C2」、これのどこが「初めて」じゃい!

「なくもんか」は、コメディの中のシリアスではなく、シリアスの中にコメディを入れる形にしたら、もう少しまとまったんじゃないかな。「舞妓haaaan!!!」は、サダヲちゃんの演技が平板にも見えるほど一貫して弾けまくっていたから、一本スジが通って統制がとれていました。今回の「なくもんか」は、グッダグダ。コメディとシリアスの配分が悪い。もっとシリアスに向き合ってつくればよかったのに〜。でなければ、徹底的に重い家庭環境をネタと化して、ブラックコメディにするか。おそらく、この監督さんの持ち味からしてブラックにはできないと思うの。どうしてもぬるいコメディがよかったんなら、割り切って松竹の正月映画にしちゃえばよかったのよ! 配給東宝だけどな!
ところどころ、いい台詞はあったし、コメディの皮をかぶった人間関係にリアルさもあったので、残念です。
クドカン脚本によくある父子相克の一面を持つが、珍しく節回しに松尾スズキさんの影響を感じた(「なんとなく可愛がられて〜」の、“なんとなく”の使い方が松尾的)。関係ないけど、クドカンの父子に対して、松尾さんは母子関係が基軸だと思う。おもしろいなこの師弟は。

『舞妓』の後半も多少ダレたが、「なくもんか」はその比でなかったね。エコはともかく、ロハススローライフについては昔から胡散くさく思っていたので、「クドカンよく言った!」と、ちょっとだけ思いましたが、正直沖縄編はいらんだろ。宮藤脚本のクセが悪いほうに出た。ご都合主義、投げっぱなし。よく出来た場合は、無理をも通す面白さで必然に思えるですけどね。
「なくもんか」というタイトルの割に、主人公が泣いてばかりなのはよかった。私も前半は一緒に泣いてました。サダヲちゃんもよく演じていたね。この人の芸達者ぶりはすごいわ。竹内結子塚本高史もいい。塚本君の役はよいなあ。沖縄前の必死さが、痛いほど響く。瑛太は、落としどころが難しい役で、ちょっと損してるかも。皆川猿時さんは、出てくるだけで笑えます。店長ならぬ店主。