カネカネ社会のもたらすもの
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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企業としては、子どもたちが自分たちの味に慣れ親しみ、将来のヘビー・ユーザーになってくれれば、十分モトがとれる。そうして出来上がるのが、栄養過多・失調の「肥満児」たちだ。栄養バランスの悪い高カロリーが毎食であれば、当然、健康を損なう。企業を校内に入れなくともすむ予算があるのは、いわゆる金持ち学校である。
このあたりの事情も、本書では分かりやすく書かれている。「フードスタンプ」の存在など、知らなかったよ……。上に列挙した本を読まずとも、この1冊で大要がつかめる好著だと思う。書かれてあることに興味を覚えたら、他の本に手を伸ばしてみてもよろしいのではないでしょうか。
また、健康を損なえばどうなるか。国民健康保険のないアメリカでは、医療費がちょっと考えられないくらい高額だ。入院したら破産、全然アリ。一度病気にかかれば、会社も民間医療保険の高額負担を怖れてクビ。既往歴があるだけで、再就職もままならない。
そんな失職者やワーキングプア、底辺校で将来の見えない若者、高額な大学学資ローンに喘ぐ学生たちを、今度は軍のリクルーターや民間軍事会社が狙い撃ちする*1。そのへんの仕組みは、本書を読んでほしい。「胡麻の油と百姓は、絞れば絞るほど出る」「生かさぬよう殺さぬよう」とは、昔の人もよく言ったものだが、アメリカでは「生かさぬよう殺さぬよう」の上をいくようだ。貧困ビジネスで搾りとったあとは、使い捨ての砂漠。