うむむ - 俺はなでしこ

映画「クワイエットルームにようこそ」

松尾スズキ原作・脚本・監督作品。原作を読んだのは、もう1年は前かなあ。
原作の細かいところは忘れたが、映画は原作に忠実で、さらに分かりやすくなっていたと思う。
原作と映画、双方のキャッチフレーズである「絶望と再生の14日間」は、原作の方がソリッド。映画はわかりやすいぶんマイルド。しかし、両方ともに、明日香の絶望深度が伝わらんのよね。めんどくさい子だなー、とは思うんだけど、「最高にめんどくさい女」ってほどでは……。「明日香」という人間の説得力が弱い。そこが気になって、気持ちよく騙される（褒め言葉です）ことはなかった。面白かったんだけど、手放しにはなれない、そんな感じ。
舞台には舞台の、映画には映画の騙しかた──「文法」があると思っている。「クワイエット〜」は、かなり“映画”であることを意識して撮られているが、ときどき、ちがう文法になっていた。文法がちがうと、魔法がとけて、画面が冷めてしまう。
おこめ券が、いいかげんウザかった。
マイナス面ばかり書いてしまったが、松尾さんの「生き直す」「再生」というテーマは、ちゃんと描かれていましたよ。自己の卑小性と向き合い、肯定し、失敗してもやり直す。松尾作品の、そういうところが好き。あと、とても誠実だと思う。

まったくどうでもいい話。クドカンの舎弟役が妻夫木聡で、つながり眉毛（別名かもめ〜る）の小者を楽しそうにやっていたが、松尾さんの心遣いか、妙にアップになるのが煩かった。理由：ブッキー好きじゃない。それを、同行者が「これを舞台でやるなら、クドカンの舎弟役は阿部サダヲがいい。ああいうキャラは上手だろうし、クドカン・阿部サダコンビを久しぶりに観たいなー」と言い、一気に妄想爆発。サダヲちゃん、似合いすぎる！　つながり眉毛のサダヲちゃんを想像したら、昔のTVコント「恋は余計なお世話」の、“こち亀”両津コスを思い出してしまった。
「プラモデルが得意だよ」「眉毛が繋がっているよ」「ラサール石井！！」
笑死萌死。
とりあえず、松尾さんの好きなもの。ゾンビ、ゲロ、つながり眉毛。それとラスク。