俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

古本

「第六章 不良唐人の隔離」すげー

昼休み、ちょっとのぞいた古本祭りで、勢いで買ってしまった一冊。
・文學士 加藤清司著『女性を中心にした江戸時代史』(昭和11年発行 学術出版社 定価 金二円 を 特価 金一円三十銭)
昔の活版だけあって、印字が力強く美しい。最近のぺらい文字面とはちがうね。
ところで。この堅そうな題名にだまされてはいけない。目次がおもしろすぎますぞ。

不義密通は天狗の所為
坊主の無遠慮将軍を走らす
婆の一声に大老の失脚
頽廃期に咲いた一輪の名花
大老を操った老女
堪へ切れぬ性的衝動
蒸籠に潜んで通ふ戀路
エロより観た江戸趣味
町奉行の魔窟狩
マリヤお小夜の悲戀
三浦太夫の優しい啖呵
愛猫三毛の怪
妖刀恨みの血しぶき
近藤勇と京女

もっとたくさんの章立てだけれど、目についたのだけ抜粋。要するに「読み物」ですな。軽いかるい。
末頁の広告も、その仰々しさが笑いを誘う。

歌麿の浮世繪を知らずして美人を語るの資格はない 浮世繪大観
・廣重の五十三次を知らずして世界の名画を語るの資格はない 東海道五十三次
性教育として本書の如く親切に説述されたものは絶対に他にない 結婚讀本附 初夜の心得

さりげなく罠混じり。しかも説明文が一番長っ!
最後のを全文のせる勇気はないので (いや別に過激ではないんだけれども、なけなしの羞恥心がね)、その続編(?)ぽいのをご紹介して、お茶をにごすことにします。

・新聞紙上に現れた実際記事を多数網羅して内容頗る豊富 現代結婚學(婦人常識普及会編)
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結婚前の女性が婚前に知つて置きさへすれば、結婚生活へ入つてからも、子女の母になつてからも、更に悔ゆるところのなかつたものを、たゞ知らざりしために、驚いたり失望したりするのである。悪い女房が一生の不作であれば、悪い亭主も亦一生の不作。結婚は實に人生の重大事である。人生の幸と不幸の分岐點である。毎日新聞紙上に現はれる男女悲劇の大概は誤つた戀愛や結婚の結果である。
本書は現代の實生活に於ける世相を基礎として、人間一生を通じて最も起り易い出来事、生じ易い問題に就て一々實例を擧げ、詳細明確なる説明、懇切なる指導、善処すべき方針を示したものであるから、結婚期にある若い女性の準備のために、母は子女の結婚を誤らせないために、是非本書を一讀して頂きたいのである。

なんというんでしょうか……謝国権先生みたいなのかしら。それとも新聞の人生相談かしら。惹句だけでどうもです。