俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

愛の軛

肌寒い日が続いている。秋をとばして、一気に夏から初冬へダイブした感じ。初秋の、やわやわした陽射しが好きなのに〜。季節よ戻ってきておくれ。

気がつけば読んで2か月、本の紹介です。

らも 中島らもとの三十五年

らも 中島らもとの三十五年

中島らもの妻、美代子さんが、らも(本名・裕之[ゆうし])との35年を振り返った本。淡々と語る中身が凄い。ことばにできない部分も含めて、率直な本である。常人ばなれして見える美代子さんに、近藤ようこの漫画に出てきそうな人だと思った。わかぎえふさんのことも知らなかったが、驚きながらも腑に落ちる。かたちを変えた被支配が痛々しい。従属しているほうが、実は相手をからめとっているのだ。
一言感想は「愛を試してはいけない」。待っているのはしっぺ返し。

私は、中島らもを読んでいる方ではない。それで上のようなことを書くのは、我ながら恥ずかしいが、まあお読み捨てください。少ない点数から好きな作品を挙げよと言われれば、『頭の中がカユイんだ』『今夜、すべてのバーで』『永遠(とわ)も半ばを過ぎて』。
『頭の中〜』は、らもさんの処女出版。松尾スズキの『大人失格』と同じ、原点の輝きに満ちた一冊。『今夜、すべてのバーで』は、こわれた体と意識の先を見ようとする視線がいい。父がこの小説の連載誌を買っており、書籍化前から読んでいた。いまだに挿絵も覚えているほど好き。『永遠〜』も、連載時に読んだもの。よくできてて面白い。

最後に、「中島らもインタヴュー 憂鬱とお笑いの星の下に」を。

『心が雨漏りする日には』の巻末で芝伸太郎いう精神科の先生と対談してますけども,躁病というのはうつ病の悪化したものであるということを芝さんはおっしゃってるんですね。それまで,おれは全く反対の考え方していて,うつ病の対極にあるものが躁病なんだと思っていたんですけれども,そうじゃない,うつ病がさらに悪化して“躁転”するんだと。
??「中島らもインタヴュー 憂鬱とお笑いの星の下に」(もとの出典はリンク先参照) より

言われるとわかる気がする。地続きなんだ。