カウリスマキのあかり・1夜
渋谷ユーロスペースで、アキ・カウリスマキの特集レイトショーを観た。小さなスクリーンだが、ほぼ8、9割がた埋まっている。人気なのね。
アキ・カウリスマキ「マッチ工場の少女」
1990年公開作品、70分。タイトル通り、暗っ! 公開当時、観たいなーと思っ たまま17年です。いつのまに。
ハムレット ゴーズ ビジネス / マッチ工場の少女 [DVD]
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幸福な家庭はみな似通っているが、不幸な家庭のありようは千差万別である、というようなことを書いたのはトルストイだが、蛇足を承知で付け加えると、不幸にも「型」がある。その、いろんな型を組み合わされて、ベタな不幸にいるのが主人公。不幸にも救済はあって、諦めて受容しちまえばそれなりに幸せなんだけど、主人公は受容しなかった。いや、いったん諦めた(自動車事故)んだろうけど、小津の「東京暮色」とちがって、死ななかったからね。
場面の飛ぶカットつなぎに、小津安二郎を連想したら、見当ちがいではないみたい。アキ監督は、19歳のときに小津の「東京物語」を観て、映画監督を志したんですって*1。無駄のないフィルム、様式美、乾いたユーモアにすごく納得。
*1:アキは、小津の墓参りにも詣でたとのこと。→「NHK BSファン倶楽部」渡辺支配人のおしゃべりシネマ館参照