俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

レオナルドの受胎告知

東京国立博物館レオナルド・ダ・ヴィンチ展――天才の実像」

晴れ。上野の東博まで「レオナルド・ダ・ヴィンチ展――天才の実像」を観に行く。
この企画のウリは、本邦初公開のウフィツィ美術館蔵「受胎告知」。ウラを返せば、レオナルドの真筆展示はこの作品のみ (と、「伝レオナルド」の彫像1点だけ)で、あとは模本、模型、複写ばかりだけれど、けっこう楽しめた。「ウィトルウィウス的人体:人体均衡図」の解説映像や、レオナルドの「手稿」から起こした模型が面白いの。機械オタ建築オタ解剖オタ。自然科学の人だなー。ピタゴラスイッチが好きな人は、楽しめるんじゃないかしら。
個人的に科学はつきつめると宗教にいきつく、と思っているんだけれど (宇宙の深淵とつながるから。哲学でもなんでもそうですね)、レオナルドの思考スケッチである「手稿」にも、ちょっとそういう匂いを感じた。
人間と動物の組成に共通項を見いだし、動物変身の可能性を考えるなど (ベクトルは人間→動物だけど)、あともうちょっとで「進化論」ですよ。永久機関を研究し、最後に「不可能である」と悟るところが好き。ありあまる才能をもち、手稿のかたちで書き散らしながら、完成品として結実したものは少なく、時代の波とあわずに各地を転々としてフランスで客死。中国の孔子みたい。孔子の思想が「仁」と「礼」なら、レオナルドが求めたものは、世界をかたちづくるものの「バランス」と「調和」だと思った。

この展示期間中、土日は18時までの開館。混むのをさけて、午後遅めの時間に到着。まあまあ混んでいたけれど、「受胎告知」は、15:30→10分待ち、16:30→すぐ入場できたよ。絵画をゆっくり観られて満足。東京博物館HPでの、当該展案内はこちら。展示品リストのページにも飛べるよ。