俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

イタリア4日目【最古の大学、中世の教会】

4/26 (木)、イタリア4日目。in Bologna。

市立考古学博物館〜昼食「TAMBURINI」〜モランディ美術館(未遂)〜旧大学(アルキジンナージオ宮)〜サント・ステファノ教会群〜夕食「CAFFE' 500」〜カブール広場19:45発→ホテル20:10着(バス乗車)

用事をすませて市街地へ。バスで向かい、中心のマッジョーレ広場で降りるつもりが乗り越して、11:10「ウーゴ・バッシ市場」で降車。食料品店の集まった屋内市場で、せっかくなので一回りする。市場の品揃えを見るのは大好き。アメリカン・チェリーのような、どぎつい赤の苺、小粒のオレンジなどに混じり、「FUJI」リンゴが売られていた。
マッジョーレ広場の裏手を歩く。八百屋や魚屋などの商店街と、ブランド店の一画が同居していて面白い。四つ辻、三叉路の多くが piazza(ピアッツァ:広場)になっており、たとえ駐車1台分の面積でも piazza なんである。ちょっと広いと緑とベンチが置かれ、公園みたい。そんな公園仕様のカブール広場まで来て、市立考古学博物館(Museo Civico Archeologico)*1を探すが見当たらない。それも道理で、日本語訳の「…館」に引かれ、一棟の建物全体が博物館だと思っていたが実際はその逆、建物の一部分に博物館スペースが設けられているのであった。

写真左のように、博物館入口に「Museo Civico Archeologico」と書かれた赤い垂幕がかかっている。目印といえばこれだけで、入口の前後は、ふつうの店舗なの。紛らわしい〜。この方式は、他の博物館・美術館も同様。昔の建築物を利用しているぶん、一棟が大きく、全室利用しきれないのでしょうね。
さて、ここでの目的はエトルリアの壺。ガイドブックによると、けっこうな収集量らしい。エトルリアの他にも、ギリシャやローマ時代、エジプトものまで、学校理科室の棚みたいな陳列でシビれるわあ。ヘレニズム、オリエント時代だ。発掘時を再現した人骨まである。目当てのエトルリアの壺は、描かれた人物たちの、さまざまなポーズが楽しい。エトルリアは、紀元前のイタリア中部にあった都市国家集団で、ローマやギリシャともちがう文化圏・言語を持っていたそうだ。フェニキア(現在のレバノン)やギリシャの影響を受けた文様に、地中海のつながりが見える。個人的に楽しかったのは、全裸のくせに、兜(?)をかぶって走っている男の絵。けっこう仮面*2かお前は! その壺の写真は撮らず。ごめんねチキンで。


12:30頃、博物館を出て、昼食の店を探す。さまよい歩き、惣菜屋「TAMBURINI (タンブリーニ)」*3でお昼。時刻は13:45〜14:30くらい。店の奥はセルフ・サービスで、隣はエノテカになっている。自分はセルフ・サービスに並んで指さし注文。じゃがいものニョッキ、豚肉とフライドポテト、モッツァエラ・チーズを頼んだのはいいが、おそろしく量が多い。ニョッキが激うまなんだけど、食べきれないよー。
ため息をついたら、前席のおっさん2人組が振りむいて「なになにー?」と、目で語りかけてくる。イタリア人の気軽さはこれこの通り。この街で何度か乗ったタクシーでも、半分の確率で話しかけられた。乗った瞬間から、運転手さんがうずうずと体を左右に揺らして、なんか喋りたそうなのね。そんで「Are You Italian?」どうやら、イタリア語は話せるか、と聞きたいらしい。「Sorry, only English」と答えると、「Fuuuum…(そうかー…)」大きい体がしぼんでいくのが、わかりやすくて可愛い。お互い、「じゃあ英語で」とならないところもいいでしょ (ハハハ)。一度、「じゃあ French はどうだ?」と聞かれたけれど無理。英語よりフランス語、というあたり、地理的、歴史的な近さを感じた。もちろん、寡黙な運転手さんもおりますよー。ただ、あまり話しかけられることなく、乗物も運行通り、街なかでも適度な緊張感のあったフランス・パリ*4より、明らかにイタリアは「ゆるい」。北ヨーロッパの観光客は、遺物以外に、この開放的な空気を味わいにくるのかしら、と思った。
ごはんついでに、街なかのパスタ屋、菓子屋の写真を中央、右に。
右端のは「イタリアの伝統菓子」らしい。翌日、喫茶店で似たようなミニ菓子を頂いたら、メレンゲ風外見に似ず、粘りがあった。歯にくっつくの。見た目ではわかりませんね。他にも一口クッキーなど試してみたが、菓子については、歴然とフランスに軍配。

14:50、モランディ美術館(Museo Morandi)*5へ行く。マッジョーレ広場の一画をなす、市庁舎(コムナーレ宮)内の美術館だが、時間を間違え、すでに閉館だった。あーん。せっかくなので、開放されている市庁舎内部の何室かを拝見。
15:40、旧大学 (アルキジンナージオ宮:Palazzo della Archiginnasio)*6
欧州最古の大学である。こちらも上記の考古学博物館式で、赤い垂幕の入口を見つけるのに手間どった。世界初の人体解剖が行われた、解剖学大階段教室(Teatro Anatomico)が見たかったが、そちらはすでに閉館とのこと。イタリアでは開館時間がよく変わり、ガイドブックは当てにならないことが多いのでお気をつけて。旧大学内部と、付属図書館の入口付近までが見学できた。

写真左は、旧大学の中庭に面した、紋章の壁。かつてここで学んだ学生や学者たちの、家の紋章がずらりと並んでいる。現在、ここで授業は行われず、大学は別の場所に移されている。

考古学博物館、旧大学もよかったが、本日の第一等は、なんといっても「サント・ステファノ教会群 (Basilica di Santo Stefano)」*7

素朴な外観、質素な内部が、シンプルに美しい。
サント・ステファノ教会群とは、11〜13世紀に建てられた3つの教会の総称らしい。修道院のような雰囲気で、ほとんど装飾はなく、たまにある絵も素朴なもの。心落ち着く空間である。どういうものか、ハサミの意匠が壁に嵌めこまれてあった。カップソーサーを並べたようなステンドグラスが面白い。カップソーサーのステンドグラスは、ほかの教会にもよくあり、ベネチアでも見かけた。ステンドグラスというより、ただのガラス窓かしら。

教会群から先は、適当に街歩き。柱廊(ポルティコ)に沿ったり、脇道に入ったり。そのうち、中世市街地の終点である城門に出てしまった (下の写真左)。もともと観光どころが密集した旧市街は、せいぜい1〜2km圏内の狭さである。城門から引き返して、別の道を歩くうち、大学区域に入ったようだ。学生の雰囲気は、どの国も変わらない。近辺の店も若者向けで、古い建物内でも、なんとなーくロックな感じ。さらに歩くと、また中世の街なみに戻った。大小さまざまな教会が、見え隠れする。建物の一部を、店舗貸ししている教会もあるようだ。もういちいち拝観せず、外観だけ眺めて歩く。

サント・ステファノ通りに戻ってきたところで、早めの夕食。17:50〜18:40。イタリア2日目(id:orenade:20070424)に見つけた、Ginseng を飲んだBar「CAFFE' 500」だ。
おつまみのバイキング・コーナーで、皿に好きなものを取り分ける (酢漬けの玉葱?が、めちゃうま!)。フレッシュ・ハーブとチーズ、ハムのパニーニがまた、おいしい。パニーニは、半分に切っても、手のひら1枚分はありそうな大きさ。いやー、この店、小綺麗で雰囲気もいいし正解ですわ。最後にカプチーノを頂いて、本日最後の休息。
このあと、マッジョーレ広場まで歩く道すがら、キヲスクのような簡易店舗が並ぶ通りに行きあった。キヲスクのような、といっても、中身は八百屋だったり花屋だったり、いろいろである。どうして簡易店舗なのか、わからぬままに苺を買った。夜の荷物詰めの合間、この苺をつまむとあら不思議! のどの渇きがおさまった。果物の偉大さを知る。

マッジョーレ広場に戻る。

写真左は広場・裏手の商店街。このあたり、歩くと楽しい。右は、タクシー乗場。イタリアでは、流しのタクシーを捕まえようとしても停まってくれないので、タクシー乗場に並ぶか、電話で呼ぶかしないとだめなのです。
でも今日はタクシーに乗らず、バスで帰宿。カブール広場19:45発の始発で、ホテル前の停留所で降りたのが20:10くらい。実は、バスでホテルまで帰ったのは初めて。市街地から郊外の景色になり、どんどん民家がなくなっていくうち、「目印の何もない、緑のなかにぽつーんとあるホテルの停留所を、見逃して乗り過ごしちゃったらどうしよう!」と焦ってきた。腰を浮かせて窓の景色をチェックし、きょろきょろ挙動不審な女に、初老の上品なマダムが優しく一言、「**ホテルは、次の停留所ですよ」。恥ずかしーい! でもありがとうございます! 無事に降りられた停留所から、教えてくれたマダムに会釈し、小さく手を振ってお別れ。
夜は荷物詰めに難航、午前1:20就寝。明日は6:50にホテル出発、フィレンツェ経由でローマが待っている。

*1:市立考古学博物館のHP→Museo Civico Archeologico

*2:「顔をかくして体かくさず!」永井豪のお色気ギャグ漫画「けっこう仮面」。

*3:老舗の高級食材店らしいですよ。2007年3月、渋谷西武のデパ地下入り。→TAMBURINI

*4:パリ人が不人情ということではナイです。宿泊客でもないのに、わざわざ声をかけてタクシーを世話してくれた、親切なドアボーイさんもいましたよー念のため。

*5:モランディ美術館→Museo Morandi

*6:旧大学 (アルキジンナージオ宮)→Palazzo della Archiginnasio

*7:サント・ステファノ教会群→Basilica Santuario Santo Stefano