俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

科博DAY

「tick,tick…BOOM!」感想をUP (id:orenade:20061105#p1)。

科学博物館「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」「化け物の文化誌展」「南方熊楠 −森羅万象の探求者−」

雨。上野の科学博物館へ行く。目的は2つの展覧だが、意外に未チェックの3番目が面白かった。なんでも見てみるもんだね。

「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」
大英博物館からコレクション到来。日本では初の「日時指定制」チケットで、来場の2日前までに、希望日と時間帯を選択するもの。当日券は会場のみの発売である。日時指定で購入した際、残席状況がどの日も余裕の◎だったので安心していたら、けっこう混んでてアテがはずれちゃった。当日券の客もそれなりにいたが、そのせいで混雑した、というほどではなかったもの。ゆったりするする観られると思ったのになー。
この展示のウリは、ミイラのCTスキャンデータとCGを組み合わせた3D映像シアターらしい。入場時に一カ所に集められ、全員いっしょにで3D映像を見てからの解散になるので、展示の冒頭から人が殺到して詰まり、流れが悪いったらありゃしない。3D映像自体は、包帯で巻かれたミイラのレントゲン写真風で、けっこう面白かったんだけどね。
9月のルーブルで、まとまった古代エジプト・コレクションを観たあとだったため、約130点の出品ながら、少々ありがたみに欠けたのは否めない。ただ、日本語の解説ボードがあるのは助かった。金ぴかの装飾品から、猫やワニ、魚のミイラまであった。魚までミイラにしちゃうとは、古代エジプト人おそるべし。

「化け物の文化誌展」
明日12日までの展示で、駆け込み観賞。こちらもアテがはずれて、大混雑。ミイラ以上に混んでた。まったく動かない人波に、係員の人がキレ気味に「観終わりましたらお進みください!」と連呼。この混雑、京極堂の影響もあるのかしらん?
日本の昔ながらの「化け物」を扱った展示内容。天狗や人魚のミイラが、ちんまり御座していた。どちらも江戸期、八戸藩南部家の収集品で、殿様のオタぶりにニンマリ。化け物を描いた絵巻もチャーミング。日本の化け物って、ほのぼのしてるのが多いですな。井上円了柳田国男や「甲子夜話」などの文献紹介多数あり。水木しげるの紹介がないのはどうしてだろう。日本の、というより、水木しげるの文化誌になっちゃうからだろうか。最後に「友情出品」(と書いてあったような) として、岡野玲子の「陰陽師」原画が飾られてた。

「南方熊楠 −森羅万象の探求者−」
“日本の科学者技術者展シリーズ第4回”。これが一番面白かったかも。前2つの展覧に比べて人が少なく、ゆっくり観られたのもよかった。
熊楠が「すごい人」なのは、断片的に知ってはいたけれど、こうしてまとまって観ると、やっぱりすげぃわ。「南方マンダラ」とか、ことばのみの知識で、いまだに意味は分からないけれども、頭の中が思索でいっぱいの人なのね。今回は植物学、特に隠花植物(キノコや粘菌、地衣類など)に重点をおいた展示だったが、それ以外にも、とにかくエネルギッシュ。8歳にして「和漢三才図会」105巻を筆写。大学予備門に入るも退学 (同窓生に夏目漱石正岡子規)、海外に渡り、フィールドワークに励んで「Nature」誌に投稿、個人では最多の掲載数を誇る。帰国後も多方面の研究に没頭し、貧しくとも矜恃は高い。一生を「在野」で通す。植物や自然の相(森羅万象、とはよく言ったものだ)から、生命、ひいては宇宙のことわりを解き明かそうとした人なのだと思った。

と、ここまで3時間ちょい。他の常設展も観ていたかったが、趣味の講座の時間が迫ってチョン。短いながらも科博”DAY”、という気分。外に出たら、曇天ながらも雨はあがっていた。