俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

パリ3日目【沈没そしてクリュニー】

9/6 (水)、パリ3日目。

ホテルで半日寝る → 中世美術館(クリュニー) → 植物園 → 宿に戻って一休み → 夕食(中華:MIRAMA) → 夜のシテ島セーヌ川

ホテルで寝る。パリ郊外のシャルトルへ行く予定を延ばして、友達には別行動をとってもらった。無念。
朝食はいっしょに摂った (ほとんど面倒みてもらった)。昨夜よりは食べられる。腰もまあ平気。でも、それは昨日の朝も同じで、また外出したら腰痛が来ること必至。ここは休養だ。
病院に行こうと、海外旅行保険の連絡先に電話するが、つながらない。ホテルの外線で、フリーダイヤルだから? 話し中のツーツー音か、フランス語で「この電話はつながりません」風の音声が流れて、切れる。どうしょうもないので、このまま寝て回復すればよし、だめなら公衆電話から再度試みるか、どうにかするわ、ということにした。…………
知らない間に寝ていたらしい。目がさめたら、友達はすでにいなかった。13:30すぎ。ちょっと頭がすっきりしている。寝続けるか迷ったが、薬を服むのにお昼を食べた方がいいし、まずはシャワーを浴びようか。で、お湯をひねった途端に部屋電が「プルルルル」。うわはー! 「部屋の掃除したいんだけど、行ってもいい? それともしない?」というもの。「Wait, wait! After 1 hour. 1 hour, p--lea---se!(むちゃくちゃ必死)」「……50 (と聞こえた) minutes」「(値切りやがったな畜生、でも係の人の契約時間帯もあるだろしなー) OK, 50 minutes. 50, after, minutes」
15分後に来やがった。
ルームクリーニング担当は、お姉さん2人組でした。かろうじて寝間着に着替えていてよかった……。あとで友達に「50分て言ってたのに!」と訴えたら、「fifty ではなくて、fifteeen だったんじゃないの」そうかも。
クリーニングのお姉さんに「なに、病気? Marche(市場)で、薬か精のつくもの買いなさいよ。Marche に行けば何かあるわ。あなた中国人? 日本人? あっそう、日本人。お大事にね」みたいなことを、英語まじりのフランス語で言われました。ニュアンス的にそんな感じだった。自分の答えは英語だけど、コミュニケーション成立 (と、一方的に認識)。

遅いお昼に、昨日の夕飯の残りとパンを完食。食欲出てきたー。いけるいける。薬局に行って、電話もかけよう。かねてからの打ち合わせ通り、行先と戻り予定時間のメモを残して、部屋を出た。見場にかまってられない、マスク着用である。短髪頭にきりりと男眉、スクエア眼鏡に大きなマスクで、ロビーのマダムに部屋の鍵を渡したら「メルシィ、ムシュー」だって。ハハハ。
まず公衆電話に挑戦。ホテルの電話と同じ症状。さらに機械の調子が悪いのか、ボリュームをあげても、音声が小さいままで聞き取れない。もうお前には頼らんわい、薬局だあ。ホテル近くの店は、昨日の薬局よりも広いが、やっぱり湿布は見つからない。途方にくれて売場を見渡していると、店のマダム(40代くらい)が声をかけてくれた。後光がさしてた。恥も外聞もないね、「I'm pain this, I'm pain this〜〜〜」と、横をむいて腰をさすさす。マダムはピン!と来たらしく、「Cream? (クリーム?)」「No, sheet (じゃなくて、布でー、四角いの)」こんなのー、こんなのよーと、指でスクエアな形を空中に描きだす。マダムがここでもピン!「Patch? (塗るんじゃなくて、当てるのね?)」「Yes, PATCH! (そうです、当てるんです!)」
店の奥 (店頭にないのね) から出されたものは、箱の形状的に、湿布にまちがいなし。日本とちがって、湿布や筋肉の絵がないすっきりデザインでした。終始ほほえみを絶やさなかったマダムは、腰痛持ちにちがいない、だから通じ合えたんだわ〜と、ひとり思い込んで帰宿。貼ったら、清涼感がススススー。自然と腰が伸びる! 元気が出る!(単純)

しばらく横になっていたが、湿布を貼ったら気持ちがよくなり、むくむくと外出欲が。本格風邪薬も効いたか。15:50、外出メモを残して、徒歩1分の「中世美術館 (通称 Cluny:クリュニー)」に行ってみた。ここなら、途中で引き返せるし安心だ。もともと、別行動の日に行こうかと思っていた場所だし、今日を逃すと、きっと行けない。
クリュニーは、古代ローマの公共浴場跡が修道院になり、いまは美術館におさまった建物である。タペストリー、彫刻、レリーフ、祭祀品など、中世のものがぎっしり。しあわせ……。

写真1番目はクリュニー外観、ほかは所蔵品。3番目はステンドガラスの一部、4番目は櫛。祭祀に使うのか、かなり大型で装飾的。クリュニー所蔵で有名なのは、「貴婦人と一角獣タペストリー6枚組。生で見られて嬉しい〜。


腰はいい感じ。クリュニーは1時間半ほどで観終わり、欲を出して、これも近場の植物園へGO。歩いて行けるが、クリュニーからはバスで2駅、乗っていく。植物園は、庭園ほど整備されておらず、ほどよく庶民的で気がおけない。人んちの家庭菜園にいる気分。マスクをとって、緑の匂いを嗅ぐ。癒されるわあ。

帰りもバスで。バス停留所から、セーヌ川をのぞむ。非常に穏やかな心持ち。

自分が出かけている間、友達は一度戻ってきたようだった。書き置きを残して、再外出している。ほどなく帰ってきた友達に、調子がいいことを報告。夕食はホテルからほど近い、中華料理屋「MIRAMA」。白を基調にした小奇麗な店内は、庶民シノワズリ風。メニューに日本語表記があって大助かり。エビ入りワンタン、豆腐と季節の野菜炒め、鴨のローストを注文。リーズナブルでおいしい! 鴨は二人で分けても食べきれず、持ち帰って明朝のおかずにしたいくらいだった。

店を出ると、外は夜だ。腰の調子がいいので、すぐそこのサン・ルイ島までぶらぶら歩き。ビストロやバーから時折、歓声がどよめく。サッカーのフランス対イタリア戦、真っ最中だった。

夜のノートルダム寺院はきれい。ライトアップされた寺院の右脇には、まんまるのお月さまが光っている。セーヌ河畔に下りて、水べり散策。ひっきりなしに遊覧船が通り、甲板2階席の客たちはみんな楽しそう。いいなあ、乗りたい!
帰りに通り抜けた小路は、ケバブや寿司、イタリアンなど、雑多な店が軒をつらねて活気があった。ゆく夏を惜しんでいるのか、みんな遅くまで騒いでいる。もう大丈夫。自分も明日から復活だ。ホテルそばの小さな映画館で、溝口健二の特集をしていた。