俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

コーラスと映画・テレビ音楽と

朝の8:30に宅配便がチャイムを鳴らした。黄金の土曜の朝なのに。「新選組!」DVD-BOXの再配達は午後のはず……と無視したが、10分後にまた、ピンポンダッシュのように鳴りつづける。着替えて応対。別の宅配便だった。9時前から仕事せんでもええじゃないか、ええじゃないか。

趣味の講座に出たあと、映画「コーラス」を鑑賞。ええじゃないか。帰宅後、購入したサントラCDをかけて余韻にひたる。
それからやっぱり、我慢できませんでした、「新選組!」DVD-BOX第弐集の特典鑑賞。本編未公開カット、および未公開に関する三谷幸喜さんのコメンタリー、三谷幸喜(脚本)×服部服部隆之(音楽)の対談である。
尺の関係*1で放送できなかったカットなので、惜しいものがほとんど。中には「これ、似たようなのが本編にもあった……」というのも混じっていたが、オウムの回や、亀弥太離反の回など「本編で見たかった!」というのが多数。池田屋と山南さんの回は、スペシャル1時間でもよかったよね。OJ齋藤の障子貼りも、おちゃめ〜。「齋藤君、左之助に言われたらおしまいだぞ」と、通りがかりにスラッととどめを刺す局長もすてき。
三谷さんと服部さんの対談は少々長いが、ちらほら面白かった。服部さんて、早口のおしゃべりなのねー。でもって、割とつっこむお人。おじい様が服部良一*2とは、知らなかった! 音楽一家だ。

映画「コーラス」

レイトショーの安い回。20:30〜22:15。フランス映画で、第二次世界大戦後の、世界全体がなんとなーく貧乏で殺伐としていた1949年が主な舞台。
「『アメリ』を抜いた」「フランスで7人に1人が観た!」などと喧伝されとりまして、日本のセカチューと似たウケ方なんでしょうか。惹句に反発する仁も居られるかもしれませんが、確かに“いい話”で終わってしまいそうなんですが、でも歌声がすばらしいの。少年たちのコーラスだけでOK。

古い修道院か牢獄といった趣きの寄宿学校で、体罰と締めつけに生徒と教師、双方が反目しあう“池の底”に、落ちぶれた中年音楽家が舎監として赴任する。言うことをきかない子供たちを、音楽――コーラスを教えることによって、皆が変わっていく話。熱血、というほどではないのですが。
なんといっても、主役の子供・モランジュ(ジャン=バティスト・モニエ)がいい。雰囲気がある子なんです。内気できかん気な感じ、いかにも「フランスの少年」。
少年モランジュの足下を映した映像が好き。細こい足に、のびきった靴下が片方、足首でとぐろを巻いている。そこからカメラはせりあがり、教室の中でコーラスをしている仲間たちをじっと見つめる少年の顔をとらえる。少年は罰で、授業は受けられず、掃除の最中なのだ。

タイトル通り、少年たちのコーラスが場面の折々を彩るのだけれど、モランジュの歌声は際立って美しい。こざかしさのない、無心な歌声。てっきり吹き替えかと思ったら、彼は「サン・マルク少年少女合唱団」の一員(映画中のコーラスは、この合唱団のもの)で、そこでもソリストをつとめているそう。
少年の美しい歌声は、聴くだけで涙をさそわれる。少年の声は、その時期をすぎると永遠に失われる、時分の花だ。“声変り”を抜かしても、声帯には年齢があり、年とともに声は変わってゆく。人との関係もうつろいゆく。しかし、美しいボーイソプラノは今もしるく、人々の耳に残るのだ。

「コーラス」公式サイト
http://www.herald.co.jp/official/chorus/

*1:尺=しゃく。度量衡で長さの単位だが、転じてフィルムの長さ、時間数をいう。

*2:服部良一……とにかくすごい人。「山寺の和尚さん」「もしもし亀よ」から、「人生の並木路」「別れのブルース」「蘇州夜曲」、笠置シヅ子の「東京ブギ」一連のブギもの、などの作曲家。