俺はなでしこ

 はてなダイアリーから、2018年12月に引越してきました

松田龍平は大物です

恋の門松尾スズキ×松田龍平トークショー! 私はね、こういう日のために仕事してるんすよ。仕事の切れ目に当たってよかった……とっとと切り上げて、行くざますよ!

恋の門松尾スズキ×松田龍平 トークショー

11/18 (木)、於・渋谷シネマライズ。19:50の回上映後、松×松コンビのトークショーです。
最初に松尾さんが登場。「きゃっ…」と、息をのむような小さな歓声があがる。次に龍平が登壇して、松尾さんより、やや黄色い声。龍平君の判定勝ち〜 (何がじゃ)。おそろしい勢いで場内の客が、携帯やデジカメで檀上の二人を撮りまくる。「え〜」と話し始める松尾さんをほっといて、『パシャッ』『シャララ〜♪』『ピロロ〜♪』撮影音の嵐が延々5〜10分続き、ぱっ、ぱっ、とたかれるストロボに場内は無法地帯。ちょっと話しづらそう。その後もときどき『チャララ〜ン♪』。写真撮影は最初の2〜3分だけ、と限ればよかったのに。

龍平君は黒のコットンパーカーに破れジーンズ、白地に黒のバッシュという、ごく普通の格好。松尾さんは暑いのか途中からジャケットを脱いで、黒地ベースのTシャツ。松尾さんは、龍平君のことを主に「龍平」と呼び、ときどき「龍平君」と君づけしてました。龍平君は「松尾さん」。以下のレポは、うろ覚えであります。多少まとめたり、脳内補完しておりますので、間違えていたらご容赦ください。
  第一声は松尾さんから。

松尾「え〜龍平君には『恋の門』を主演してもらって、その後、『夜叉ヶ池』という三池監督のやった芝居……あれ、何だったっけ、夜叉、夜叉ヶ池だっけ、そう夜叉ヶ池に出て、それが龍平の初舞台だったわけだけど、俺はちょっと観に行けなかったんだけども、初舞台がどうだったかという、ていうかお前もしゃべれよ!」
龍平「(笑)」
松尾「だから俺がこうやって聞いているんだから、しゃべれって」
龍平「(驚いたように) え? 俺?」

  冒頭からコントです。

龍平「(ふっと笑い) あ、いや、松尾さんが長くしゃべっているから、ちゃんと聞かないと、と思って……」
松尾「わかったからさ〜、何かしゃべってよ〜。(客席に向き直り) 今日は芝居が終わって直行してきたから、いつもとテンションちがうんですよ。酒は飲んでないんだけどね。……で、(初舞台は) どうなの?」
龍平「(ニコニコ)」
 場内の視線が龍平に集中。しーん。沈黙と視線に、異変を感じた龍平の反応は!?
龍平「…え? あれ……?(松尾さんの視線を受け、なぜか脇に控えている配給会社の方に顔を向ける)」
配給会社「僕じゃないですよ! 龍平さんですよ!」
龍平「(驚いたように) え、僕ですか?
   …………(考え中)」
 客と松尾さんの視線。沈黙が落ちる。
龍平「…え? あれ?…… (考えすぎて、何を答えるのか忘れたらしく、また脇の配給会社の方に顔を向ける)」
配給会社「だから僕じゃないですよ! 龍平さんですよ!」
龍平「(驚いたように) あ、僕ですか!」
松尾「初舞台はどうだった、って聞いてるの」
龍平「ああ〜……!(うなずく)」
松尾「で、初舞台の感想は?」
龍平「面白かったです」

  一言でかたづける龍平。会話がつづかん。松尾さんが何とか話をつなげようと、がんばって話題を振ってました。龍平君は、ほんとに無口です。声もささやくようで、しゃべるときも一拍考えてから、ものをいう感じ。すべての言葉の前後に「……」がつきます。でも、しゃべると割合早口かも。
さて、『夜叉ヶ池』に関するものを集めると、以下のごとし。

松尾「舞台始まる前はさ〜、不安だ不安だって言ってたじゃない」
龍平「いや、特に。 (客席が) 暗くてわからなかったから、よかったです。もう、普通に。変わらず、やれました。声もどんどん出るようになって、公演終わりには「大きな声になった」と言われましたし」
松尾「ああそう、こわくなく、普段どおりできたんだ。舞台向きだね。また舞台はやりたい、とかないの?」
龍平「あ……それは別にもういいかな……」
松尾「えっ!(身をよじって) いいの、やんないの?」
龍平「いつも同じことをやる、というのは……映像は新しいことの連続ですけれど……舞台は、また忘れた頃にやりたいですね。新鮮に受け止められる時期がきたら」

松尾「普段通りで問題なかったんなら、じゃあ、笑いはとれた?」
龍平「(一瞬だまって) ……とれました」
松尾「ほんとに?(笑) じゃあ、とれたところ言ってみて」
龍平「いや、僕の役は笑いをとる役じゃないんで」
  とれてないんじゃん!(←心のツッコミ)
龍平「笑いをとる役じゃないんで、普通に演じました。笑われたら笑われたで、笑われなかったら笑われなかったで。普通に真面目に」
松尾さん「(ややジト目な気が) ふ〜ん。 まあ、ある意味正しいやり方だね」

松尾「何か、舞台でハプニングとか、やっちゃったーみたいなのってあった?」
龍平「(考えこんで) …はい。上演中に地震があったんですよ。上の照明がすっごく揺れて……舞台も揺れて……地震、大きかったですね」
松尾「(ちげーよ! お前自身に起きたハプニングを聞きたいんだよ! というのを態度に現しながら) ううーん、それは照明のハプニングではあるけど、確かに上の方にある照明は揺れも大きいけれど、それは君に起こったハプニングじゃないよね」
龍平「(まったく構わずに) そうなんですよ。客席はざわめくし。田畑(智子)さんといっしょのシーンだったんですけど、彼女がものすごくこわがっちゃって」
松尾「そうなの?」
龍平「そうなんですよ、舞台の上なのに『こわい〜』とか言っちゃって。なんだこの人は! と思って、俺だってこわいのにやってるのに〜って (ようやく熱を帯びる)」
松尾「(それだよ! と) ハハ、龍平君もこわかったんだ〜」
龍平「こわかったですよー。田畑さんと2人きりでやるコミカルなシーンなのに、おびえちゃってるから続かなくて。どうしようと思ってたら、まだ出番じゃないけど武田君が出てきてくれて、『休憩にしよう』と言ってくれて……助かりました」
松尾「あ、舞台とめちゃったんだ? それはすごいね」

  面白トークのできない龍平君が面白い。会話のかみあわなさも、マイペースさも天然だすねん。いつまでもこのまま、変に馴れないでほしいわ〜。後半、少し口数が多くなりました。
  途中でネタがつづかなくなった松尾さんが、質問を紙に書いたものを取りだし、読み上げたときのようす。

松尾「僕のHPで、トークショーで聞きたい質問を募ったんだけど……(紙を取りだして)『龍平さんと松尾さんと、似ている、と思うところがあったら教えてください』!」
龍平「…………(松尾さんの急に元気のいい語調に、静かにウケている)」
松尾「しかたないだろう〜? 中盤の中だるみの時間だから、テンション高くして引っ張ってかないと。で、似ているところはありますか?」
龍平「(ハタと困ったように)……え〜、松尾さんと僕とは、年がちがうので、その年の差がぐっとなくなった、と考えると、いろいろ似ているところがある、ような……ないような……(つっかえながら、最後は小声)」
松尾「どっちだよ! まあいいや」

  以下、アトランダムに。

松尾「撮影にカンヌに、恋の門のプロモで、国内もあちこち飛んで……この1年で7kg痩せました」
龍平「そうですよ、見るたびやつれていって…、大丈夫かなって思ってましたもん。(頭をさげる。プロモ活動) ありがとうございます」
松尾「あちこちでインタビュー受けるでしょ。おしまいの方、話すネタがなくなって、嘘になってくんだよね。 (子リスのような笑顔で) 同じことばかり話すのって、飽きちゃうじゃな〜い? 全部嘘じゃないんだけど、一部嘘というか」
龍平「たとえば、どんなのですか」
松尾「龍平は最初会ったとき、一言も口きかなかった、とか(笑)」
龍平「ひどい! そんなことないですよ〜、本気にされたらどうするんですかー」
松尾「ごめんごめん、でも似たようなものだったでしょ? 口きいても一言程度だったよね」
龍平「ひどいなあ、ちがいますよ〜」
松尾「恋の門の話をするので事務所に来てもらったときも、一言も口をきかずに漫画読んでた、とか(笑)」
龍平「ちがいますって〜 (焦)」
松尾「うん。でも龍平も漫画読みでしょ? うちの事務所にはふだん読まないような漫画があるから、面白かったんじゃないかな」
龍平「(素直に) あ、それはそうでしたね。原作も読まさせていただいて」
松尾「原作者・羽生生純さんの新作、『青(オールー)』、面白いよね。ある意味、恋の門よりこっちの方が面白い」
龍平「ある意味、面白いですね」

松尾「龍平と初めて会ったのは、映画『キューティーハニー』のパーティで。人に紹介してもらったら、『ああ……はい』って、冷たかったなあ」
龍平「ちがいますって! 嘘いわないでください!」
松尾「(嬉しそうに) すぐに横を向いて、だれコイツ、って感じで」
龍平「うそうそ嘘、嘘ですってー。それを言うなら、松尾さんだって同じじゃないですか! 僕だってしゃべってもらえなかったですよ!」
松尾「まあね…… (少し目が泳いで) 二人とも、人見知りってことなんだよね」
龍平「そうですよ〜〜〜。もー」


松尾「そのパーティのときに映画の話をして、改めて事務所の方に来てもらったんだよね」
龍平「はい。ずっと漫画読んでました」

  映画「恋の門」の話。

龍平「好きなシーンはたくさんあって、どれも気に入っているんですけれど……。そうですね、印象に残っているのは、酒井若菜さんの後半、長ゼリフ、水のペットボトルが出てくるところ。長回しで、酒井さんがすごくて、僕もテンション高くなりました。それと、石のシーン。「石が好きな君が〜〜」ってやるところ。その日の撮りは、それしかなくて、河原で、今日はこれだけか〜と思ったら、なんか面白くなっちゃって。テンションが妙にあがっちゃいました」
松尾「ああ、石。あのときの龍平君は、すごーく楽しそうだったよね〜」


松尾「『恋も漫画も、賭けられないようなら〜!』のとこ、うまくいかなくて11回撮り直したんだよね。なーんかうまくいかなかったんだよね」
龍平「(思い出し笑い) ああ、あのときの松尾さん、おかしかったです」
松尾「俺だけじゃないよ、他の人もNG出しただろ(笑)。 7回目にきれいにおさまって、これでOKと思ったら、画面にいらない物が映っていて……どうする? 客は気づかないかな、どうにかならないかな、どうするどうする、って言っていたら、照明さんがしびれを切らして『撮り直しするんだろ、早くしてくれよっ!』」
龍平「(笑)」

松尾「そういうのもね……もう、一年になりましたよ」
龍平「?」
松尾「もう一年たちましたよ。早いですよねえ」
龍平「何が (真顔)」
松尾「何がって、……(絶句) 映画をとってからですよ!」
龍平「ああ。……(納得)」

3〜40分ほどのトークショーだったけれど、松田龍平が大物であることがわかりました。監督に向かって真顔で「何が」って、大物ですよ! いや、ほんと堂々としてるのよ。檀上で緊張はしているかもしれないけれど、マイペースな人ですね。いいわー。好きだわー。
トークショーが終わったあと、深々とお辞儀をし、少し背をまるめて歩くのがツボ。長身のからだを、肩で風きるのではなく、猫背気味で地に足つかない感じがもうね、いいのですよ! でも、さっさっと歩いて、遅くないの。そこもいいの。
いやー、「こうあってほしい」と思った龍平君そのままでした。今日来て、よかった〜。